道路の沈下、陥没、家の傾きなど大きな被害が発生した札幌市清田区里塚1条1丁目の里塚中央ぽぷら公園周辺。今回の地震以前にも、この付近では道路の沈下や水の湧出などが再三発生し、その都度、住民が清田区土木部に苦情を申し出ていました。

地面が陥没、傾く家

 住民によると、清田区土木部はその都度、路盤整備はせず、簡単な舗装(天ぷら舗装)をして「大丈夫です」と言っていたそうです。住民たちは、そう証言しています。

 今回のように何軒もの家が軒並み大きく傾くような地盤沈下は初めてですが、小規模の沈下など、その予兆は十分あったということです。地域を歩いていると、「これは人災だ」という怒りの声を聞きます。

 清田区土木部は「舗装して修理したのは間違いない。しかし、詳しいことはわからない」と言っています。

 これでは困ります。清田区は「安心安全なまちづくり」を標榜していますが、これだけの被害が出ているのに「わからない」では、まったく「安心安全」ではありません。

 住民の疑念は、ほかにもあります。

里塚中央ぽぷら公園の波打つ地面と地割れ=9月6日

 里塚中央ぽぷら公園は真ん中付近が大きく沈下、陥没し、その沈下の帯が周辺住宅地に続いています。この沈下の帯に向かって家が大きく傾き、大変な惨状になっています。

 この帯状のラインは、かつての三里川の支流のような水の流れがあった所と、住民は言います。

 三里川の本流は、この付近では暗渠(あんきょ、地下水路)になっています。この地区が昭和50年代前半に宅地造成されたときに、三里川本流は暗渠になりました。

 しかし、細い支流は、宅地造成された際、暗渠にもせず、そのまま盛り土したといいます。水の流れはどこへ行ったのでしょうか。

 地域住民は「水の流れは止められません。地中に水が多く含まれていたのではないでしょうか」と、疑い始めています。

 しかも、この地域は、谷を埋めて盛り土して造成した宅地なのに、札幌市の盛り土マップには、この地域は記載されていません。全く不可解です。

札幌市の盛り土マップ。緑色が盛土部分。黄色の国道36号を越えて、その先の上の部分が旧道まで今回の被害地域。しかし盛り土である緑色になっていない。

 地下の土が、液状化で地滑りのように大量に下流方向に流失し、地中に大きな空洞ができて沈下、陥没が起き、そして多くの家が傾いたと思われる今回の特異な被害。

 宅地造成の際に何か瑕疵(かし=過失、欠陥)がなかったのか、住民たちは疑い始めています。

 原因は本当のところ、まだはっきりしません。ただ、現場を歩いてみると、里塚で起きたことは「地震による液状化が原因の災害だ」と単純には言えない、何か特殊な事案であるように思えます。

 地盤沈下の予兆があったのに、札幌市は危険を認識せず、見過ごし、盛土マップにも掲載しませんでした。そもそも宅地開発に何か問題がなかったのか。住民たちの疑念です。

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