清田区里塚でなぜあれほど大きな液状化、地盤陥没、家の傾きが起きたのか。その想定被災メカニズムを札幌市は明らかにしました。

 それによると、地震発生で、宅地造成のために盛り土した地中で液状化が発生し、造成前に沢だった所で液状化した土砂が帯条に流動。被害地域はゆるい傾斜地だったために低い旧道方向に地中の土砂が流動して、途中で地表を打ち破り大量に流出。その結果、地中が空洞化して大規模な地盤沈下が発生し、家が傾いたといいます。

 これは10月18日(木)、札幌市が清田区体育館で開いた地元住民説明会で明らかにしました。市によると、里塚の地震被害は「全国的にも前例のない事案だった」といいます。

 液状化というと、通常は地面の亀裂などから噴砂が起きる現象ですが、今回の里塚のように大量の土砂が流動・流出したのは、全国的にも初めての事例だというのです。

 流出した土砂の量は約1万立方メートルに達し、傾斜地の下方の旧道(旧国道36号線)や運送会社の敷地などに大量に堆積しました。ダンプカー1650台分の量だったそうです。土砂の一部は、ふたが壊れたマンホールに流入し、暗渠河川を経て三里川に流れ出て、現場から4キロ先の国道12号線付近まで流れ出たと言います。

 札幌市は被災後の地中の状態を確認するため、里塚の被災地区37カ所でボーリング調査を実施、地中の状態を分析しました。

 それによると、被災地区は、地山の上に盛り土が厚さ5m~10mほどあり、盛り土部分は地下水位より下の層(水分の多い地層)と上の層(水分の少ない層)の2層からなっていました。地震により、地下水位より下の盛り土層(水分の多い層)で土の粒子がバラバラに離れて液体状になった(=液状化)といます。

 液体状になった土砂は、緩い傾斜地の下の方へ流動し、地表の弱い所から地表に流出し旧道(旧国道36号線)などに堆積したといいます。

 市によると、「ケチャップの容器を押しつぶして、中身のケチャップが口から飛び出るイメージ」だそうです。なるほど、こんな液状化現象は全国的にも初めてかもしれません。

里塚の想定被災メカニズム(札幌市)

 市によると、液状化とは「地震により、土の粒のかみ合わせがはずれ、土の粒が地下水に浮いた状態になること」だそうです。

 そして、液状化現象が発生する地盤条件は①土中の粒の大きさが概ね等しいこと②締め固まっていないこと③地下水位が高いこと―の3つだそうです。この3つともそろわないと液状化は起きないそうです。里塚のケースは、この3条件がそろっていたといいます。札幌市の説明は以上です。

液状化の発生モデル(札幌市)

 でも、どうでしょうか。液状化が起きるメカニズムは確かに札幌市の言う通りかもしれません。でも、なぜ限られた里塚のごく一部地区だけ、あのような「全国的にも前例のない」甚大な被害が発生したのでしょうか。その答えを札幌市は用意できていないように思えます。

 あの地区に、大量の地下水がたまっていたということはないのでしょうか。かつて川が流れていた沢を埋め立てて造成した宅地という点は、今回の甚大な被害と関係ないのでしょうか。疑問が残ります。

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