清田区里塚1条1丁目と2丁目で発生した大規模な陥没被害は、地震の強い揺れによる液状化と水道管の破裂というダブルパンチで起きたと報道されています。そして、「清田区には今回のような災害が起きやすいところが多い」と警告されています。

道路が陥没、マンホールが突出した里塚1条1丁目

 実際、里塚1丁目と2丁目以外にも、清田区では液状化や地割れなどの被害が発生しています。

美しが丘小学校グラウンド

 今回の陥没事故があった地域から国道36号線を渡ったところにあるブックオフ美しが丘店(美しが丘1条5丁目)の駐車場と美しが丘小学校グラウンド(美しが丘2条5丁目)は、地割れが発生しています。ブックオフと美しが丘小学校の間の道路は液状化の跡が残っています。

液状化が起きた美しが丘3条6丁目

 また、美しが丘3条6丁目の住宅街と近くの美しが丘南公園(美しが丘2条7丁目)でも液状化が発生、地割れなどが起きました。この地区は2003年十勝沖地震の時も液状化や家の傾きなどの被害が発生しました。

 市営住宅里塚団地でも20~30センチの陥没が見られたそうです。里塚霊園でも墓石の損壊が多数発生しました。

 これらの地域の共通点は、かつて川が流れていた場所です。

 被害が大きかった里塚1条1丁目と2丁目地域、そしてブックオフ美しが丘店、美しが丘小学校のラインは、かつて三里川が流れていて、谷筋だったと思われる地域です。

 里塚団地、美しが3条6丁目、美しが丘南公園、里塚霊園のラインは三里川の支流が流れていた地域です。

 2本の三里川は旧道付近で1本に合流していました。

 これらの地域は、昭和50年代以降、宅地造成された際に山を削って谷を埋める方法で地盤が形成されたといいます。札幌市河川管理課によると、その際、川は暗渠(あんきょ=地下に設けた水路)化されました。

 暗渠は、縦1.75m、横1.5mの四角いコンクリート管だそうです。雨水は、雨水桝から暗渠に入り下流の三里川に流れていきます。

暗渠化された三里川が描かれている札幌市作成の河川地図

 札幌市河川管理課作成の河川管理地図にこの2本の暗渠の位置が載っています。上記の地図で、旧道から下流方向は赤い色で描かれ、これは地表に出ていることを示しています。

 旧道から左の上流方向は、緑色に丸印の付いた線で暗渠が描かれたいます。上がかつての三里川本流と思われ、今は暗渠「三里川」です。下はかつての三里川支流と思われ、今は暗渠「三里東排水」となっています。

 2つの暗渠は旧道付近で三里川になり、地表面に出てきます。

旧道付近で地表に出て平岡公園方面に流れていく三里川

 暗渠「三里川」は国道36号線までとなっていますが、その上流の美しが丘方面にも川が続いていたことが古地図などに記されています。

 また、暗渠「三里東排水」は里塚霊園まで伸びています。同霊園あたりから、川が流れていたと思われます。

 この暗渠が、かつての川の流れです。

 暗渠になると、かつて川が流れて沢地だったことが分からなくなります。今回の被害地域で、自分の土地が川と沢を埋め立てて造成されたということを知っている人はほとんどいないのではないでしょうか。

 2003年十勝沖地震の時と今回と、2度も同じ場所で液状化が起きている地区もあります。かつての川筋、谷筋での抜本的な防災対策、地盤対策が望まれます。

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