札幌市が今年3月に改定した「大規模盛土造成地マップ」(清田区版)を取り寄せ、見てみました。2018年9月の北海道胆振東部地震で大規模な宅地崩壊を起こした清田区里塚地区は大規模な盛土造成地だったにもかかわらず、当時の市の盛土マップには掲載されていませんでした。

 今回の改定で、地震被害のあった里塚地区も旧川筋に沿って大規模盛土造成地だったことがようやく記載されています。

札幌市大規模盛土造成地マップ(清田区版)。薄緑色の範囲が今回新たに追加された盛土造成地。

 2018年の地震で清田区の地震被害は、かつての川筋を盛り土して埋め立てた宅地に被害が多く発生したのが特徴です。

被害があった里塚地区を盛り土造成地として認定していなかった改定前の盛土マップ

 特に里塚地区で大きな被害が発生しました。ここは宅地造成時に三里川を暗渠河川(地下水路)にして大規模な盛り土をして宅地にしたところです。ところが、札幌市が2017年3月に公表した盛土マップでは、里塚地区は盛り土として掲載されていませんでした。

薄緑色の範囲が、今回の改定で盛り土造成地として掲載された里塚地区

 札幌市は、宅地造成前の昭和40年の地形図と現在の地形図を重ね合わせて、大規模造成地をコンピュータで抽出したそうですが、精度が甘く、このため里塚地区はじめ多くの大規模造成地が漏れてしまいました。

 市によると、2017年の盛土マップでは札幌市内の大規模盛土造成地は95カ所でしたが、今回の改定で183カ所に増えました。市の資料を見ると、その多くは清田区と厚別区に集中しています。

 盛土マップ清田区版をみると、里塚地区、美しが丘地区、清田中央地区といった地震被害が多く発生した地区では、いずれも盛土マップに記載された範囲で、帯状に地盤沈下等の被害が発生していたことが改めて確認できます。

 いずれもかつて川が流れていたところです。

平岡地区の盛土造成地。左側の帯状の盛土はかつて二里川があったところ。

 平岡地区は一般に地盤がいい所と思われていますが、かつて平岡地区のど真ん中を南から北へ流れていた二里川沿いの一帯だけは、2018年の地震の際に一部で地盤変容の被害が発生しました。盛土マップでは、やはり旧二里川沿いは盛り土として記載されています。

 二里川は宅地造成の際に埋め立てられました。今では、平岡のどこに川が流れていたのか全く分からない状況ですが、概ね、この盛り土マップにそって川が流れていました。

 盛土マップを見ると、清田区内で北野地区だけは、ほとんど盛土がないことが分かります。2018年の地震の際も、北野地区は大きな地盤変容の被害はありませんでした。

清田中央地区の盛土造成地(緑色と薄緑色の範囲)

 盛土マップについて札幌市は「大規模造成地が身近に存在することを知っていただくとともに、宅地に関する情報の一つとして活用してください」「マップに示されている範囲が地震時に必ずしも危険というわけではありません」「防災意識の向上に役立ててほしい」としています。

 市としては、地震時における盛土全体の安定性について、今後、地質調査などを行う際にこのマップを活用するようです。

 この盛り土マップは、区役所、各まちづくりセンターで配布しています。インターネットでも見ることができます。こちらをクリックしてみてください。

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