札幌市は、すすきの地区で定期的な無料PCR検査を実施するなどの「すすきの地区対策プロジェクト」を1月27日から実施するそうです。今日1月16日の北海道新聞が報じています

■札幌市の取り組み

札幌すすきの

 それによると、接待を伴う飲食店の従業員は週1回、居酒屋や美容室などは月1回、定期的に検査を行うそうです。検査は市の負担で実施し、無料で受けられます。検査に協力した店は市のホームページでPRするそうです。

北海道新聞より

 毎週1回、検査をしている店なら今よりは安心できるかもしれません。飲食店は、時短要請や外出自粛で経営危機に直面しています。こうした市の対策は、感染拡大防止だけでなく、ススキノの飲食店へのエールになるかもしれません。

 できれば、ススキノに限らず、札幌市内全域で病院や介護施設、理美容等の従事者にも定期的な無料検査を広げてほしいものだと思います。

 これまでの感染防止対策は、三密回避、マスク着用と消毒の徹底、飲食店の営業自粛と外出自粛など、お願いベースで「感染経路を絶つ」対策が主でした。しかし、感染拡大が止まりません。

 PCR検査を拡充して無症状者を含む感染者を発見、保護・隔離するという「感染源を絶つ」対策は、日本ではほとんど行われてきませんでした。このため無症状の感染者が知らぬ間に感染を広げている可能性があると指摘されています。

 札幌市のすすきの地区での取り組みに期待したいと思います。

■厚真町の取り組み

 PCR検査を拡充する動きは札幌市以外でも出てきています。

 報道によると、厚真町は1月6日から14日まで、町内の介護施設とこども園の職員250人余りを対象に、全額、町の負担でPCR検査を実施しました。無症状感染者による感染拡大を防ぐのが狙いです。

 「要配慮者をしっかり守っていくために、まず従事者の健康状態の確認が必要ではないかと感じて、急きょ社会的検査を要請させていただきました」(厚真町・宮坂尚市朗町長)(HBCニュース

■根室市の取り組み

 根室市も、市内の医療機関や介護施設、保育園などで働く職員約1500人を対象に、市の負担でPCR検査を実施することにしました。1月12日、対象の施設に検査キットを無料で配布し、使い方を説明したそうです。

 キットは3か月分用意し、対象者は症状の有無にかかわらず、月に1回定期的に検査を行うということです。(北海道新聞記事

■広島県の取り組み

 道外では、もっと大規模なPCR検査を実施する動きが出ています。

広島市の街かど(写真提供:広島県)

 広島県の湯崎知事は1月14日、広島市中心部の中区、東区、南区、西区の4区の住民と就業者最大80万人を対象とする大掛かりなPCR検査を実施する計画を発表しました。

 人口120万人の広島市にとってかなり規模の大きなPCR検査です。希望者に無料で検査します。2月には実施したい考えで、実施方法を調整中だとのことです。

 これも、無症状感染者を早期に発見し、市中感染の拡大防止につなげるのが狙いだといいます。(日本経済新聞

■熊本市の取り組み

 熊本市でも1月13日から、市内の高齢者施設や障害者施設の職員を対象にPCR検査を始めました。根室市と同じやり方で、施設に検査キットを配って各施設で検体を採取して検査にかけるといいます。

 現時点で熊本市内の39施設、約3000人が対象ですが、今後、市内すべての高齢者施設、障害者施設、医療機関の職員に対象を広げるそうです。

 市は「無症状の方を検査することで早期の感染確認ができ、感染拡大につながる」としています。(NHKニュース

 また、熊本市は昨年末から、中心市街地の飲食店従業員にPCR検査を無料で行っています。回数に制限はなく、2週間を目安に、無症状の方が定期的にPCR検査を受けられるとのことです。

 札幌市が1月27日からやろうとしていることを、熊本市は既に実施しているようです。(熊本市ホームページ

■ノーベル賞学者4人の提言

 ノーベル医学・生理学賞を受賞した大隅良典、大村智、本庶佑、山中伸弥氏の4人の科学者は1月8日、政府の緊急事態宣言発令を受けて「PCR検査能力の大幅な拡充と無症状感染者の隔離強化」など5つの提言を政府に求める緊急共同声明を発表しました(産経新聞記事)。

 さらに本庶佑京都大学特別教授は1月14日のテレビ朝日の「モーニングショー」に出演。「PCR検査能力の大幅な拡充と無症状感染者の隔離を強化する必要がある。中国のように地域ごとに全検査・隔離するのが理想だが、現実的に日本では難しい。少なくても『感染しているかも』と思ったら、即座に検査を受けられる体制を作るべき」と強調しました。

 そのうえで、本庶教授は「ある会社が既に自動PCR検査機を設置した移動式のトレーラーを作っており、日本中どこでも行ける。1台1億円として1000台で1000億円。これで1日250万件のPCR検査が可能」と明かし、導入すべきだと強調しました。

 さらに、無症状感染者を、借り上げたホテルに滞在させ、飲食店から食事を提供し、ホテルと飲食店を支援する態勢を提案しました。ネット上では賛同が相次いだといいます(中日スポーツ記事)。

 外出自粛や飲食店の時短などはもちろん有効な対策でしょう。それに加えて、検査を拡充して感染者の早期発見、保護・隔離など少しでも「感染源を絶つ」対策を合わせて行ってはいかがでしょうか。

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