清田区の歴史を掘り起こす活動を続ける清田区在住の郷土史家、了寛紀明さんに12月16日(木)、山田一八清田区長から「地域の郷土意識の高揚と地域文化の振興に大きく貢献した」として感謝状が贈られました。
了寛さんが本格的に清田区の郷土史の調査研究を始めたのは、1998年から2001年まで務めた清田小学校の校長の時からです。
清田区は、明治の開拓期から月寒村や豊平町の一部だった農村の歴史が長く、役場等も無かったことから、昔の記録や資料がきちんと残ってなく、その歴史は明らかになっていない部分が多くありました。
了寛さんは北大図書館や道立図書館、道立文書館などに再三足を運び、丹念に昔の史料や古地図、絵図、新聞記事などを収集し、明治以降の清田区150年の歴史を実証的につまびらかにしてきました。
昔の事情を知る古老らの話も聴き取ってきました。
そうした成果を「清田発掘」シリーズというレポート冊子にして、まとめてきました。内容は、清田区の昔の地名「あしりべつ」の語源から始まって、清田区の開拓の歴史や農業用水路を開削して水田地帯にした話、札幌本道(今の旧道)の歴史、小学校の歴史、三里塚と有明の歴史、さらには昭和40年代以降の住宅地となっていった歴史まで広範囲にわたる内容になっています。
これらの力作を見ていると、清田区にも豊かな歴史があり、先人たちの労苦と頑張りが浮かび上がって来るかのようです。
「清田発掘」シリーズの冊子は既に50冊以上に及び、そのすべてが「あしりべつ郷土館」(札幌市清田区清田1条2丁目、清田区民センター2階)に収められ、誰でも閲覧可能になっています。
了寛さんは令和元年(2019年)から、清田区内の5つの町内会連合会が合同で運営する「あしりべつ郷土館」の運営に学芸員的な立場で携わっています。運営委員会事務局スタッフとして活動をしており、これまで弱点だった「あしりべつ郷土館」の調査研究活動を担い、郷土館の価値を学術的に高めています。
了寛さんの参加により、あしりべつ郷土館の評価が専門家の間でも高まっています。2021年11月8日には、岩手県立博物館の学芸員2名がはるばる来館、岩手県出身で清田開拓の祖である長岡重治の足跡を調べていきました。その際も、了寛さんが資料を提供し、懇切丁寧に説明しました。
岩手県立博物館の学芸員は「岩手県出身の北海道開拓者の資料は岩手県でもあまりない。あしりべつ郷土館がもっとも資料が揃っています」と来館の理由を述べていたのが印象的です。
清田区役所で行われた感謝状贈呈式のあと、了寛さんは山田区長としばし清田の歴史について談笑しました。
了寛さんは今なお、「清田発掘」の調査研究を続けており、「私のライフワークにしたい」と意欲を語っています。「清田発掘」の冊子は、さらに増えていきそうです。
感謝状贈呈式には、あしりべつ郷土館運営委員事務局仲間である林進一北野町連副会長(きよたまちづくり区民会議幹事長)と「ひろまある清田」の川島亨代表も臨席し、了寛さんの受賞を祝福しました。
「清田発掘」シリーズの冊子は、あしりべつ郷土館(水曜・土曜:10時~16時開館)で閲覧できますが、あしりべつ郷土館ホームページでも一部ダイジェスト版を公開しおり、順次、内容を増やしています。
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