あしりべつ郷土館(札幌市清田区清田1条2丁目、清田区民センター2階)は、明治25年(1892年)頃に造られた水田用水路「吉田用水」と、清田区北野に残る「吉田用水跡」を紹介する動画DVD「米作りと吉田用水~吉田用水跡を訪ねて」(長さ10分)を制作しました。

DVD「米作りと吉田用水~吉田用水跡を訪ねて」
吉田用水は、明治時代の開拓農家が稲作を行うために、北野、大谷地、月寒東などで広範囲に農業を営んでいた吉田善太郎さんら農家が造った用水路です。
今の北海道コカ・コーラボトリング工場(清田区清田1条1丁目)裏手の厚別川(あしりべつ川)から取水し、北野、大谷地方面に農業用水を供給する長さ5㎞の用水路でした。

吉田用水と農家の人たち=「清田地区百年史」より
用水路は幅4m、深さ2mほどあったといわれ、地主、小作人ら40~50ほどがスコップとクワだけの手掘りで、わずか4か月で造ったといいます。
これを契機に、その後、いくつかの用水路も造られ、清田区地域は見事な水田地帯になったといいます。今の清田区という地名も、かつて水田地帯だったことに由来しています。
吉田用水は、昭和45年(1970年)頃、地域の宅地化が進み、水田が消滅したことから役目を終え、大半が埋め立てられてしまいました。

緑色の線で示したところが吉田用水跡の緑地帯(了寛紀明さん作成)
しかし、清田区北野3条3丁目の500m区間は、帯状の緑地帯として残っています。これは、まぎれもなく吉田用水跡ですが、そのことを知っている清田区民はほとんどいません。
清田区は歴史遺産の少ない区ですが、これは清田区の数少ない一級の歴史遺産、産業遺産です。
動画DVDは、この吉田用水と吉田用水跡の存在を、広く清田区民と子供たちに知ってもらおうと制作したものです。

吉田用水跡で映像を収録=2021年11月20日
昨年2021年11月には現地ロケを行い、郷土史家の了寛紀明さん(里塚)が全体を監修しました。動画撮影と編集は、映像制作家の園部真人さん(平岡公園東)が行いました。北海道文化財保護協会副理事長の田山修三さん(真栄団地)も制作に参画しました。3人とも元小学校の校長先生で、あしりべつ郷土館のボランティアです。
動画DVDは、郷土館の完全自前制作ですが、完成度はかなり高く、分かりやすい内容になっています。

北野中学校向かいの「吉田用水跡」起点
あしりべつ郷土館は、このDVDを清田区内の全小学校、中学校、高校に配布しました。また、清田区役所と各まちづくりセンターにも配布しました。学校や地域で、郷土を知る一環として活用してくれたらとの願いからです。また、あしりべつ郷土館のホームページからもご覧になれます。
あしりべつ郷土館は、札幌市からスペースの無償提供を受けて、清田区内の5つの町内会連合会でつくる「あしりべつ郷土館運営委員会」が管理運営しています。開館は水曜と土曜の10時~16時。入館無料です。
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