地下鉄東豊線建設促進期成会連合会(会長:牧野晃清田地区町内会連合会顧問)が11月29日、地下鉄を清田区まで延伸するよう求める要望書を秋元克広札幌市長に提出しました。
市長要望には、期成会から役員や顧問の市議・道議ら総勢18人が参加しました。まず牧野会長が
①地下鉄を清田まで延伸すること
②地域交流拠点清田(区役所、西友清田店があるエリア)に地下鉄駅とバスターミナルを設置すること
③北海道農業研究センターの土地活用(国道36号線と羊ケ丘通に挟まれたエリア)を進めること
④新月寒体育館は札幌ドーム駐車場を潰すのではなく北海道農業研究センターの土地に建設すること
⑤半導体製造のラピダス千歳進出を見据え、千歳方面への玄関口である清田まで地下鉄延伸をすること
⑥新清田区民センターの区役所周辺への移転新築に当たっては、将来の地下鉄延伸の障害にならない場所に建設すること
の6項目を要望しました。
続いて、これについて牧野会長が要望書の内容を要約して説明しました(要望書全文はこちらから)。
これについて、秋元市長は次の通り回答しました。
■秋元克広札幌市長
ありがとうございます。今日は牧野会長はじめ期成会の皆さん、各地域の町内会連合会会長さん、顧問をされている道議・市議の皆さん、多くお集まりいただき、お越しいただきました。改めて御礼申し上げたいと思います。
今、牧野会長から縷々お話をいただきまして、清田区への地下鉄延伸、このことは清田区民のみならず豊平区にお住まいの皆さんからも、これまでもご要望をいただいているところであります。
過去に、札幌市として、この地下鉄延伸についての需要推計ということを行った際には、単年度の経費と収入で比べますと、経費の方が上回っていて黒字化が難しいということで、採算性が困難ということで、今まで計画が進んでいない、事実上凍結をしてきているという状況にございます。
一方、会長のお話にありましたように、一昨年、大変な大雪が全市にありました。バス・JRを含めて交通機関のなかでは地下鉄が唯一、大雪の中でも強い交通機関であるということが実証されたところであります。
そういう意味で、皆さん方の「地下鉄を」という思い、その住民の足を確保するという視点からも切なる要望ということでありまして、そこについては、これまでも申し上げてきましたが、私としても「同じ思い」であります。雪の冬季間、積雪寒冷地である札幌において、地下鉄の重要性、地下鉄は交通体系の中でも非常に重要なものだと認識しております。
昨今のバス運転手の人員確保というようなことで、12月の冬ダイヤから清田方面ならず全市的に今までの都心まで、少し長い距離の所については、地下鉄に短絡させて行くという路線改正が多くなされています。これはバス運転手の人員確保、バス路線そのものを確保していくために、重複して走っている所は、できるだけ効率を上げていくという視点からやむを得ない経営判断だったのかなと思っております。
しかしながら、住民の方にとっては地下鉄乗り継ぎ、今まで1本で来られたのが、地下鉄に乗り継がなければならない不便さ、あるいは料金の問題ということもあって、この地下鉄延伸のご要望ということはますます強くなってきているのかなと思っています。
オリンピックの関係については、2030年招致それから間もなく2034年の開催地についても決定がなされる状況がありまして、当面のまちづくりの中で、これまでオリンピック・パラリンピック招致に合わせて様々な土地利用ですとか、施設建設ということを検討してまいりましたが、この辺は見直しをかけていかなければならないという状況もございます。
先ほどお話があった農研機構の土地(注;北海道農業研究センターの土地で、国道36号線と羊ケ丘通に挟まれたエリア)の問題。国の土地でありますので、そこを譲渡してほしいというお話をさせていただいてきておりますけども、基本的に今、使っている施設もある、まだ、施設も使えるという状況の中で、オリンピックの開催などのように大きな国家プロジェクトがなければ、なかなか現状の中では土地を譲ることができないというお話をいただきました。
それで、このオリンピックの関係という前提が崩れてくるわけでありますが、我々としてはやはりドーム周辺の土地利用の計画ということについては、引き続き粘り強く国に対しても土地を譲っていただく、活用について続けて検討していきたいと思っています。国に土地譲渡の要請を続けていきたいと思っています。この点については、皆さん方のお力をお借りしながら進めていければと思っております。
一方、道央地区において半導体のラピダス千歳進出とか苫小牧に新しいデータセンターが建設される等の動きが出ています。今後、AI(人工知能)を使った業務が拡大していくことで大量のデータセンターや高速な半導体というものが必要になる。そういう背景のもと、この半導体工場とかデータセンターの進出の動きが出ています。
それは北海道が今後、風力はじめ太陽光発電といった再生可能エネルギーを使っていく可能性が非常に高いということで、北海道に進出してきております。
その関連産業が、現状ではまだどこまで広がっていくのか見えてきませんけれども、熊本の例などを見ますと、関連の企業、産業が集積して人口も増加している。特に、海外からの技術者も来ている状況で、まちが大きく変わってきている状況があります。
そういったことを考えたときに、道央圏でこれを受け止めていくということ、新たな要素として今後の土地利用ですとか、人の張りつきということに、新たな期待ができる要素として出てきてまいりましたので、こういった動きなどを含めて(地下鉄延伸を検討していきたい)。
公共交通としての冬に強い地下鉄の重要性は十分あるわけでありますけども、一方で、採算可能な形でこれを進めていくということは、交通事業自体がつぶれては元も子もないわけでありますので、採算性ということも無視はできない、という状況です。
そういう意味では、将来的な人の張りつきとか土地利用というようなことを十分見極めながら、採算をある程度、先ほど「30年にこだわらない」という国の答弁も、それは「柔軟に対応する」ということでありますけれど、赤字のままでいいということではないので、そういった点については、しっかりと議論していかなければならないと思っています。
今日いただいた要望については、私も「同じ思い」で、課題にしっかり取り組んで参りたいと思っております。
簡単なことではありませんけども、実現に向けて取り組みということを議論していければと思っておりますので、ご理解をいただきたいと思っております。
私からは、ちょっと長くなりましたが、状況についてお話させていただきました。
この後、有田京史東月寒町内会連合会会長から追加の要望がありました。
■有田京史東月寒町内会連合会会長
東月寒は当事者といいますか、地下鉄延伸がなった場合はルートの3分の1以上が東月寒地区です。豊平区を通って清田区へ至るわけです。今回のオリンピック中断に伴うドーム隣の農水省の土地の件、これは非常に関心があります。
農業研究所(北海道農業研究センター)の出っ張った土地が国道36号線まであるということで、月寒から清田にかけてのまちが分断されている格好になります。今回、土地買収して、いろんな施設ができれば、清田までまちがつながって、非常に活性化されるだろうと期待していたところです。国としては、大事な研究施設だということは十分承知ですけども全体のバランスからすれば、やはり、いかにも障害になっている感があります。
やはり、土地の利用ということで、新月寒体育館を(ドーム駐車場を潰すのではなく)そこに建て、それから地下鉄を延伸して引くという場合、車両基地だって北海道農業研究センターの土地を活用できるわけです。合わせて国の機関も一緒になってここの開発を進めていくと、そんな働きかけも必要ではないかと感じております。
ここまで血(動脈としての地下鉄)が通りましたら、月寒、清田も蘇って若い人がたくさん住む街に変わると思います。高齢化が進んでいる地域が一気に若返ると思います。
清田にはテクノパークの土地がありますが、まだまだ未開発のところがあります。そういったことを含め、一体とした札幌の南東部の総合開発ということを進めていただきたい。
月寒の方も大規模展示施設(アクセスサッポロの後継施設)が東月寒に来ます。それから、選手村を予定していた市営月寒団地の建て替えの件についても、オリンピック目的というのではなく、大きなまちづくりのために必要であり、札幌圏、地方から来る方々の受け入れの場所としても大事だと思います。
豊平・清田含めた総合的なまちづくりをぜひ、お考えいただければと願っているところであります。よろしくお願いいたします。
■秋元市長
繰り返しになりますが、国の所有地については、オリンピックということで話をしてまいりましたけども、やはり、まちづくりにとっては必要な土地でありますので、引き続き、国の方には粘り強く働きかけ続けていきたいと思っております。
■有田東月寒町内会連合会会長
ぜひ、よろしくお願いいたします。
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