札幌市は9月13日(木)、「清田区里塚地区の市街地復旧に向けた地元説明会」を清田区体育館で開催しました。地元説明会は初めてです。約300世帯のおよそ500人が参加しました。

 札幌市の担当者が、里塚1条1丁目、2丁目の被害状況を説明しました。札幌市が作成した資料によると、被害があった地域は、原野や農地だった所を昭和53年から54年にかけて宅地造成したそうです。

 道路は、里塚21号線(旧道から国道36号線に抜ける道路)ほか8路線で沈下、陥没があり、舗装の損壊が多数発生しました。

 水道管は里塚21号線の道路下の水道管が3か所で破損しました。これは復旧済みですが、今も59件が断水しています。

 下水道は、下水管やマンホール内に滞水や土砂流入などの被害があったほか、マンホールのずれが発生しました。

 河川は「被災なし」ということです。この被害地域では、三里川が暗渠(地下水路)になっています。宅地造成された際に、暗渠化されました。暗渠は縦1.75m、横1.5mのコンクリート管です。

 公園は、里塚中央ぽぷら公園が2.2m沈下したうえに、公園が全体に傾き、施設が損壊しました。この地域の住宅の損壊は、市の被災建築物の応急危険度調査では、対象311戸のうち、「危険」が62戸、「要注意」が47戸でした。

 地質と地盤を調べるボーリング調査は、既に里塚中央ポプラ公園内3カ所で実施済みで、今後、周辺の道路17カ所でも実施するそうです。被害地域全体は、ドローンによる測量もすでに行っています。

 地中の動きを観測するひずみ計を里塚中央ポプラ公園内に設置しました。一方、傾きなど地表の動きも16カ所で観測しているそうです。

 札幌市は、今回の地震でなぜ里塚1条1丁目と2丁目で特異な被害が発生したのか、こうした調査で究明したいとしています。原因がわからなければ、対策もできないからでしょう。

 札幌市の対応としては、土質調査、分析解析、対策検討に3か月ほどかかり、その後に復旧方法などを住民に提示する流れだそうです。3か月後の12月には雪が降るので、本格的な復旧工事は来春以降になりそうです。

 これに対し、住民からは不安の声が相次ぎました。傾いている家は、今も傾きが増しており、住民には「そんな悠長なことでは困る」との思いが強くあります。

 この日の住民説明会では、被害の原因や市の対策などについて、住民からさまざまな疑問や不安が出ましたが、札幌市は「検討する」「調査する」などの回答が多く、札幌市側は住民たちからかなり多くの宿題を背負った説明会だったようです。

 説明会には、札幌市側から小角武嗣清田区長、札幌市土木部の里塚地区市街地復旧推進室の櫻井英文室長はじめ道路、河川、水道などの各部局の担当者が出席、説明に当たりました。

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