国営滝野すずらん丘陵公園(札幌市南区滝野)の「滝野の森ゾーン・西エリア」を散策してきました(2024年5月2日)。シラネアオイなど春の山野草の花が咲き始めていました。想像していた以上に素晴らしい森の散策でした。

咲き始めたシラネアオイ=2024年5月2日、滝野すずらん丘陵公園・滝野の森ゾーン西エリア

滝野の森ゾーン
滝野すずらん丘陵公園は395ヘクタールと広大で、「渓流ゾーン」、「中心ゾーン」、「滝野の森ゾーン西エリア」、「滝野の森ゾーン東エリア」の4つに区分されています。
カントリーガーデンやカントリーハウスなどがある中心ゾーンや、アシリベツの滝がある渓流ゾーンはこれまでも何度も訪ねていますが、公園の南側(奥側)に広がる「滝野の森ゾーン」は今回、初めて行ってみました。

森の情報館。ここで情報をゲット!
滝野の森ゾーンへは、路線バスは行っていないので、車で行くのがお薦めです。公園奥側の「滝野の森口」から入ってすぐの所に駐車場があり、車を停めます。入り口で駐車料金450円と入園料450円(65歳以上210円)を払います。

森の観察デッキ
駐車場から250mほど歩くと、「森の情報館」という三角屋根の建物に着きます。ここで様々な情報を入手して、地下2階からいよいよ森の中へ出発です。
滝野の森ゾーンは全てが森林で、想像以上にすばらしい景観が目の前に広がります。高さ5mの「森の観察デッキ」というのがあり、「鳥の目線でヤチダモやハルニレなどの森を楽しむことができる」という説明がありました。

シラネアオイ
ほどなく「シラネアオイの小径」と呼ばれるところに着きました。斜面に「山野草の女王」と呼ばれるシラネアオイの花が咲き始めていました。
例年、5月中旬に見頃を迎えるそうで、今年も5月11日~5月19日まで「シラネアオイと春の野の花まつり」が開催されるとのことです。

ミヤマエンレイソウ
シラネアオイは、北海道では絶滅危急種に指定されている希少種ですが、滝野の森ではその保護・育成に取り組んでいて、見頃になると見事な群落が現れるようです。

エゾエンゴサク
この「シラネアオイの小径」付近は山野草の宝庫らしく、シラネアオイのほかにもミヤマエンレイソウやエゾエンゴサク、エンレイソウ、ヒトリシズカなど様々な野の花が咲いていました。

エンレイソウ
滝野の森西エリアは、野牛沢川と言う小さな川が蛇行を重ねながら流れていて、そのせせらぎを聞きながら散策路を歩いて行きます。道のわきに、タチツボスミレやフッキソウなどの野の花が遠慮がちに咲いていました。

ヒトリシズカ
野牛沢川は滝野すずらん公園渓流ゾーンで厚別川(あしりべつ川)に注いでいます。
この付近は明治30年代以降、入植者が開墾を進め、水田や畑などで農業を営んだとされていますが、札幌から遠い山奥で気候も厳しかったことから、農業は大変だったようです。

タチツボスミレ
それでも昭和40年代初頭まで米作りが営まれたそうです。その水田跡や農家の住居跡、炭焼き小屋の跡などが、この滝野の森ゾーン西エリアでは見ることができます。

フッキソウ
「田んぼの広場」には、かつての水田を復元整備した水田があり、米作りが行われています。
農家の住居跡や炭焼き小屋の跡などを見ていると、先人たちの苦労がしのばれます。

かつての水田を復元整備
今の滝野すずらん丘陵公園があるエリアは、農家が入植する前に一つの大きな前史がありました。明治13年(1880年)~明治19年(1886年)の6年間、北海道開拓使が設置した「厚別(あしりべつ)水車器械所」という製材工場があったのです。

炭焼き小屋の跡
札幌建設のために必要な木材を得るために、滝野周辺の木を切り倒し、製材して札幌建設に供給したのです。当時、動力の水車に水を流した用水路跡が今も滝野すずらん丘陵公園内に残っています。
豊かな自然だけでなく、滝野の歴史も感じさせてくれる公園です。滝野の森ゾーンは、中心ゾーンや渓流ゾーンに比べて訪れる人は少ないようですが、ちょっともったいない感じがしました。
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