
質問に立つ山田洋聡市議=札幌市議会ホームページより
清田区選出の山田洋聡市議(自民党)は、2月20日(金)に開かれた令和8年札幌市議会第1回定例会で、自民党の代表質問に立ち、地下鉄東豊線の清田区への延伸について質問しました。
答弁に立った天野周治副市長は「令和8年度に地下鉄を含めた公共交通の在り方について検討を進めていく」と述べました。
この答弁は札幌市の交通体系の中で、地下鉄を清田区まで延伸させることを含んだ検討を進めることを意味しています。
札幌市はこれまで地下鉄延伸について、事業採算性に難があるとして清田延伸に向けて動こうとはしませんでしたが、今回の第1回定例会で遂に「地下鉄清田延伸の検討」を明言し、動き出すことを表明しました。画期的な答弁です。
山田議員は、札幌市政の諸課題全般について質問したのですが、ここでは「地下鉄東豊線の清田区への延伸」についての部分のみ、質疑応答の全文を紹介します。
■山田洋聡市議(自民党)
地下鉄の清田区への延伸について質問します。
まず改めて強く申し上げたいのは、清田区への地下鉄延伸が平成24年(2012年)の札幌市総合交通計画において、それまで延伸を進めるとされていたものが止まったことによる現在の清田区の状況です。
清田区は札幌市の中で最も若い区であり、開発余地も多く、清田区内と近隣郊外には大型ショッピングモールも増えました。また住宅地としても人気が高く、戸建て住宅の比率が高い特色もあります。
ところが、移動については地下鉄駅やバスターミナルが無いために交通結節点がなく、自動車での移動が基本になり交通渋滞は避けられません。特に通勤時間帯は豊平区の福住駅、白石区の南郷18丁目駅、厚別区の大谷地駅と近隣駅の送迎の車も多く、その上に雪の問題があります。これが現在の清田区の状況です。
以前から何度も申し上げておりますが、この不便と感じる生活の結果、学校を卒業する若者が清田区に残らず、札幌市統計書からも20~34歳の比率が10区で最低の割合になっていることが確認できます。私が危惧するのは、この若者が少ない状況です。
どんなに立派な街になったとしても、若者がいない街に活気は生まれません。子ども若者がたくさんいる街には絶対にかないません。その思いから、人口減少社会を前提とした政策ではなく本気で子どもを増やす方向に進むべきであると提言を続けており、地下鉄の延伸もまさにそのための「政策」であり、公共交通の改善という視点も重要ではありますが、本当の目的はここにあると考えます。
そして地下鉄延伸における大切な要素は一刻も早く整備するということです。地下鉄建設のスタートは昭和43年(1968年)~46年(1971年)に建設された真駒内から北24条までの南北線で、この時の1㎞あたりの建設費は約34億円です。直近の建設は平成6年(1994年)~10年(1998年)の琴似から宮の沢までの東西線延伸で、この時の1㎞あたりの建設費は約172億円です。
清田区延伸の計画が進んでいた平成13年(2001年)当時の検討では、福住から清田までの4.2㎞で概算事業費は1050億円です。1㎞あたりに換算すると約250億円になります。昨今の建設費の高騰はだれもが承知のことであり、現在の相場で換算するとどれだけの建設費が必要なのか、まずは早急に把握することが重要であり、その上で今の札幌市の実情を踏まえてどのように実現するのか各種計画に反映させていくことを求めます。
そこで質問ですが、地下鉄東西線の清田区延伸実現に向けて今後どのように進めていく考えか伺います。
■天野周治副市長

答弁する天野周治副市長
地下鉄東豊線の清田区への延伸についてお答えします。
地下鉄東豊線の清田区方面への延伸については、過去の事業採算性の検証において十分な需要が見込めなかったことに加え、清田区の人口推計が減少傾向であることや建設工事費が上昇傾向であることも踏まえると、実現には課題が多い状況であります。
一方で、定時性の高い地下鉄延伸を望む声を多くいただいており、昨今の公共交通を取り巻く環境の変化を踏まえ、清田方面における生活の足を守る方策について改めて考えていく必要があると認識しております。
そのため、まずは令和8年度に全市的な公共交通体系の現状と課題の整理を行い、地下鉄を含めた公共交通の在り方について検討を進めてまいります。
【解説】
札幌市の姿勢に大きな変化が出てきました。天野副市長が言う「昨今の公共交通を取り巻く環境の変化」とは、まさに昨今の運転手不足による路線バスの減便・廃止です。
「清田方面における生活の足を守る方策について改めて考えていく必要がある」とは、従来のように採算性だけで地下鉄建設を判断していたら市民の生活の足を確保できなくなるという危機感から、地下鉄の役割を見直そうという発想です。

清田区新年交礼会で地下鉄延伸について発言する秋元市長=2025年1月7日、ホテルエミシア札幌
この考え方は今年1月7日、秋元市長が清田区新年交礼会で初めて発表しました。従来は、バスだけではさばききれない大量の人員輸送のために地下鉄を建設するという発想でやってきたといいます。大量の人員輸送が前提のため、当然、事業採算性もおおむね取れる構造でした。
しかし、昨今の急激なバス減便・廃止に直面して、このままでは軌道系交通手段(地下鉄、JR)のない清田区は大変なことになると危惧されるようになってきました
秋元市長は今年1月の清田区新年交礼会で次のように述べたのです。
「このバスがなくなっていく状況の時に、どうやって市民の足を確保していかなくてはならないのか。そういう視点で今、交通体系を考え直さなければいけない時期に来ていると思っています。
今後もバスの減便が続くという状況を考えたときに、市民の足をどう守るかという視点で、地下鉄を含めた交通体系を考えていかなければならない。そういう状況に来ているのではないかと思っています。
新年度には、こういった視点での新たな検討を行います。例えば、バスが20台(運転手さん20人)必要な人員輸送を地下鉄なら運転手1人で運べます。人手不足、人材確保の観点から公共交通がどうあるべきかという視点で検討を進めたいと思っています」
清田区民の悲願である地下鉄延伸について、札幌市が大きな発想の転換を図ろうとしていることに注目していきたいと思います。
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