土砂災害警戒区域の清田区内の指定について、道(札幌建設管理部)と札幌市(危機管理対策室、宅地課)は9月30日(日)、住民説明会を清田区民センターで開催しました。警戒区域の指定は住民に防災意識を持ってもらうのが狙いだそうです。しかし、実態は「あんたの土地と住宅は危険だ」というレッテルを張るだけで、防災工事などのハード対策は行わないという説明に、住民から疑問と反発の声が相次ぎました。

 近年、大雨などによる土砂災害が頻発していることから、国は土砂災害防止法(平成13年4月施行)に基づき、土砂災害警戒区域(イエローゾーン)と土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)の指定を進めています。

 指定は都道府県が行っています。札幌市内では平成21年度、南区南沢で区域指定が始まり、平成29年度末までに市内で792カ所の区域指定が行われました。

 清田区内では平成28年度に清田地区1カ所、29年度に清田中央と北野地区の22カ所が区域指定されています。平成30年度は清田地区、平岡地区、里塚・美しが丘地区の3地区で一気に72カ所の区域指定を行う予定です。

 指定する区域は、山沿いの土地だけでなく、住宅街のがけ地付近も含まれています。

 道によると、傾斜度30度以上で高さ5m以上のがけ地の上と下の区域などを土砂災害警戒区域(イエローゾーン)に指定し、そのうち、より危険度の高い地域を土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)に指定するそうです。

土砂災害警戒区域の指定をめぐる住民説明会=9月30日、清田区民センター

 道と札幌市の説明によると、区域指定は住民に危険意識を持ってもらうのが狙いだそうで、基本的にがけ地などの防災工事(ハード対策)は行わないそうです。

 ただし、指定されると、その地域については札幌市がハザードマップを作り、避難経路などを明示するようです(警備避難体制の整備=ソフト対策)。しかし、防災マップ等はすでに町内会などで作成済みで、市のソフト対策に新味はありません。

 説明会では、道と札幌市の説明に、住民から疑問や反発が相次ぎました。

 「あなたの住宅と土地は危ないよ、と言っているだけ。危険な土地と指定するなら、危険がないようにハード対策をしてほしい」

 「札幌市が宅地開発を許可した住宅地が、30年たって今更、市から『そこは危ない土地です』と言われても、とてもじゃないが納得できない」

 「これでは土地と住宅の資産価値が下がるだけで、人生設計も狂わされる」。

 特に、住宅街の区域指定をめぐって住民から強く反発がありました。道と市の担当者から納得できる説明もなかったため、説明会は紛糾した中で終了しました。

 道と市は、平成30年度末には清田区内72カ所の指定をしたいとしていますが、はたして住民の理解は進むのでしょうか。

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