札幌ドーム(札幌市豊平区羊ヶ丘)の建設時の借金がまだ160億円(2019年3月末現在)も残っていることが、札幌市スポーツ局への取材で分かりました。2032年3月末まで毎年、札幌市民や道民の税金を使って返済を続けていくことになっており、重い負担が続きます。

 札幌ドームは、今でも巨額の税金投入が毎年、行われているのです。

 札幌ドームは2001年に開業。2004年から北海道日本ハムファイターズが本拠地球場として使っています。

 札幌ドームは、札幌市が施設を所有し、市と道内企業が出資する第3セクター「株式会社札幌ドーム」が運営管理を行っています。

 札幌市スポーツ局によると、札幌ドームの建設には、537億円(建設費422億円、用地費115億円)かかりました。

 この建設費は、次のように賄いました。
札幌市費      112億円
道の補助金     12億円
経済界からの寄付金 18億5000万円
札幌市の借金    394億円

 札幌市の借金394億円は2031年度までに完済する計画です。借金には利子がつきものです。借金の利子支払い額は151億円に達します。従って、札幌市の借金返済総額は、元金394億円に利子151億円を加えた545億円となります。

 市の借金返済総額545億円はすべて札幌市が負担するわけではありません。道の補助金、国の交付税からも充当されます。札幌市と道と国の負担は次の通りです。

札幌市費    273億円
道費(補助金) 86億円
国費(交付税) 186億5000万円

 この返済総額545億円のうち、2019年3月末までに385億円が返済済みで、残る返済額は160億円ということです。この残債160億円の負担内訳は次の通りです。

札幌市費    73億円
道費(補助金) 38億円
国費(交付税) 49億円

 この税金投入で2031年度までに借金をすべて返済する計画です。

 2023年には、日本ハム球団が本拠地を北広島市のボールパーク新球場に移すことが決まっています。日本ハムが札幌ドームを出ていくと、札幌ドームの経営は相当厳しい状況に陥ります。

 札幌ドームの試算によると、年間40億円前後の売り上げが、日本ハムが北広島に移転したら一気に18億円程度の売り上げに落ち込むそうです。コンサドーレ札幌の全ホーム試合を札幌ドームで行うなどのテコ入れを行っても、株式会社札幌ドームは毎年3億円程度の経常赤字に転落するとしています。

 株式会社札幌ドームは単年度黒字を続けてきた等の報道を目にします。ところが、これにはカラクリがあり、札幌ドームの実態は毎年赤字です。

 株式会社札幌ドームは、施設の所有者ではないので、建設時の借金返済の義務はありません。あくまで札幌ドームの指定管理者として、管理運営するだけです。建設費の負担がないのですから、黒字になるのは当たり前なのかもしれません。

 株式会社札幌ドームが数億円程度の黒字を出しても、市の毎年の借金返済があるため、札幌ドームの損益は「指定管理者(株式会社札幌ドーム)と札幌市の収支を合算すると、年間10億円超の赤字」(石井吉春北大公共政策大学院教授=2017年9月10日、北海道新聞)なのです。これが札幌ドームの実態です。

 ドーム球場は、東京、大阪、名古屋、福岡、札幌の5つしかありません。しかも大都市圏にドーム球場は各1つです。市場規模がそれだけしかないからです。

 ドーム球場の経営は、プロ野球のほかに大型コンサートの貸館で成り立っていると言われます。ところが、東京や大阪のドーム球場は年間50回ほどのコンサートがあるそうですが、札幌ドームは年間10回ほどしかありません。

 5ドーム球場のなかで、最も市場規模の小さい札幌圏で2つのドーム球場は、果たして成り立つのでしょうか。

 そういう不安の中で、札幌ドームの建設時の借金返済を市民、道民はこれからも延々と続けていくのです。

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