あしりべつ郷土館(札幌市清田区清田1条2丁目、清田区民センター2階)は7月1日(水)に再オープンするのに伴い、清田区の歴史に関する調査研究や講座の開催、DVD制作、ホームページ運営等を行う企画部門を設けました。

あしりべつ郷土館の館内展示

 明治の初めに最初の開拓者が入植して以降、約150年の清田区の歩みを改めて発掘し、清田区民はじめ広く区内外に発信していきます。

これは脱穀機です

 あしりべつ郷土館は、昭和58年(1983年)、今の清田小学校学校田の所にあった旧清田出張所の建物を活用して開館。その後、建物の老朽化に伴い、平成14年(2002年)に現在の清田区民センターに移転し、今日に至っています。

こういう馬車が清田区でも活躍していました

 郷土館は、展示物・収蔵品等が約1400点あります。馬車や馬そりをはじめ昔の農機具や生活道具、商業道具、各種文献資料などのほか、5つの時代ごとに撮影した大型の清田区航空写真、地形模型などもあります。展示品の多くは、清田区民の有志から寄贈されたもので、今では手に入らない貴重なものばかりです。

 管理運営は、清田区の5つの町内会連合会の会長、副会長らでつくる運営委員会(令和2、3年度は里塚・美しが丘町連が事務局担当)が行っています。運営費用は、区内の町内会員1世帯年間50円の負担で賄っています。区民の自主運営で行っている郷土館なのです。

年配者には懐かしい昔の生活道具

 あしりべつ郷土館は、札幌市内各地域に15館ほどある郷土資料館の中では、比較的来館者の多い郷土資料館ですが、年1回の郷土館まつりのほかは、常設の展示を見てもらう程度で、運営は近年ややマンネリ気味でした。

 その原因は、郷土館運営組織の中に、事業の企画や郷土史の調査研究部門がなかったことが挙げられます。これはかねてから指摘されていたことで、歴代の清田区長経験者からも「調査研究部門があれば」との指摘と助言がありました。

 そこで、郷土館運営委員会の中に事務局を新たに設け、事務局の中にさらに管理と企画2つのグループを発足させました。注目されるのが企画グループです。

 企画メンバーは7人。林進一氏(企画グループ長、北野町連副会長)、市原照之氏(平岡町連副会長)に加えて、新たに了寛紀明氏(郷土史研究家、元清田小学校長)、田山修三氏(道教育大特任教授、元有明小学校長)、園部真人氏(映像制作専門家、元小学校長)、水野重男氏(清田区ITボランティア)、川島亨氏(「ひろまある清田」代表)の5氏が新たに入りました。全員、清田区民です。

昔の民家の暮らしを復元

 6月26日(木)、第1回企画会議を郷土館内で開催し、当面、子供でも分かる清田の歴史DVDを制作するほか、清田の歴史を簡潔に説明する大型の歴史パネルを制作することにしました。

歴史講座などができるレクチャースペースを新設

 歴史パネルは、今年度、「幕末に開削された清田の札幌越新道」「明治初めに今の清田小学校の場所に建てられた休泊所」「明治6年に建てられた三里塚の里程標」「清田小学校前にある開拓功労碑の解読」「有明にあった篠路屯田公有地」「平岡にあった山鼻屯田給与地」「宅地開発前の清田区地形復元図」など8つを予定しています。出来上がり次第、郷土館内に掲示します。

 これらの清田の歴史は、郷土館ホームページにも随時、掲載していきます。冊子にもしていく予定です。

清田の歴史に関する図書コーナー

 清田区地域は、明治初めの開拓期以来、純農村で役場がなかったことなどから歴史的な記録があまり残ってなく、「開拓期⇒水田・畑作時代⇒都市化・住宅化」という大まかな歴史認識が一般的でした。

 しかし、了寛紀明氏の調査研究で、清田区にも知られざる豊かな歴史があることが徐々に判明してきています。郷土館では、その成果を順次、公表していきます。

 小学校や児童会館、町内会等への歴史出前講座も検討しています。新型コロナウイルスの感染が収束したら、制作したDVDなどを持って小学校等に出かけて、企画部スタッフが出前授業を行うことを計画しています。

寄贈された町内会記念誌の一部

 郷土館では、清田区内の町内会などに周年記念誌の寄贈をお願いしています。これまでに各町内会から「20周年記念誌」「40周年記念誌」など様々寄贈されています。これらの記念誌には、地域の歴史が記載されていることが多く、貴重な歴史資料です。清田区の歴史に関する書物等の寄贈もあります。

 こうした文献資料の充実も務めていく方針です。

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