北海道大学構内を歩いてきました。北大はもちろん学問の場です。が、広大な構内は森あり、緑地あり、牧歌的風景の農場あり、札幌農学校当時の建物ありと、まるで緑豊かな見どころいっぱいの公園のようです。

中央ローン

新渡戸稲造夫人寄贈のハルニレ
札幌駅から徒歩7分ほどで北大正門(札幌市北区北8条西5丁目)です。正門入ってすぐ右側に「新渡戸稲造夫人寄贈のハルニレ」の巨木があります。明治38年(1905年)に植樹されたそうです。いきなり札幌農学校当時の歴史を感じさせてくれる巨木が出迎えてくれます。
新渡戸稲造は札幌農学校2期生で、のちに教授となった人物。旧制第一高校校長や東京帝大教授、国際連盟事務次長も務めた北大ゆかりの偉人。

クラーク像
正門入って正面の所に中央ローンという緑地があります。サクシュコトニ川という小川が流れる芝生と樹木に覆われた緑地です。学生よりも、市民や子供たちが多くのんびりとくつろいでいました。

古河講堂
ここの小川は昭和初期までサケが遡上してきたそうです。今は人口流水ですが、キャンパス内を流れていき、やがて暗渠や開渠になって流れ流れて新川にそそぐようです。

北大構内を南北に延びるメーン通り
中央ローンの端っこに観光スポットとして有名なクラーク像があります。その前には白壁の美しい洋風建築、古河講堂もあります。古河講堂は明治42年(1909年)、古河鉱業の寄付で林学科教室として建てられたものです。
クラーク像の前方には、農学部の建物(昭和10年=1929年主要部完成)が構えており、歴史を感じさせます。

元理学部本館の北大総合博物館
北大構内には南北に延びるメーン通り(全長1.2㎞)があり、樹木に囲まれたメーン通りは公園の中を歩いているかのようです。学生たちが自転車で行き来しています。

北大ポプラ並木
右手に法学部や経済学部などの文科系学部の校舎。左手は北大総合博物館(元理学部本館)の重厚な建物(昭和4年=1929年建造)。これらを見ながら北に歩き、やがて左折して歩いて行くと、有名なポプラ並木が見えてきます。

ポプラ並木横の花木園
平成16年(2004年)の台風で51本のポプラのうち19本が根元から倒壊、8本が傾く被害が発生しました。全国から義捐金が集まり、再生したそうです。
ポプラ並木は、昔は自由に歩けたのですが、今は柵があり、制限されています。
ポプラ並木の横に花木園があり、中に園路が整備されています。樹木に覆われた園内はまるで森の中のようです。
花木園の入り口には新渡戸稲造博士顕彰碑があります。

北大第一農場
ポプラ並木の横は北大第一農場で、広々とした光景が広がっています。札幌のど真ん中で感じられる北海道らしい風景です。

大野池
再びメーン通りに出ると、コンビニがあり、ここでサンドイッチを買って少し休憩しました。コンビニも北大構内の雰囲気に合わせてシックな外観です。
再び散策を開始。すぐ近くに大野池があります。中央ローンから流れてきたサクシュコトニ川が流れ込む池で、スイレンの花が水面いっぱいに咲いて、カモの親子もいます。カモたちは人間をまったく恐れておらず、むしろ近寄ってきます。かわいい姿に癒されます。

恵迪の森
大野池を後にしてメーン通りを北に歩きます。左手に工学部、右を見ると凛とした雰囲気のイチョウ並木が見えてきます。ここは秋になると、人気の黄葉スポットになる有名な所です。
工学部を過ぎて、やがてメーン通りから左手の道に入っていきます。「恵迪の森」を過ぎて、サッカー場や運動場などを過ぎて歩いて行くと、やがて「平成ポプラ並木」が見えてきます。北大第一農場の北の端にあり、東西300メートルに及ぶ71本の並木です。

平成ポプラ並木

平成ポプラ並木から見た第一農場
北大ポプラ並木が老朽化していることから、2000年に新しく植樹した並木です。こちらは自由に並木沿いを散策できます。

草をはむ乳牛
平成ポプラ並木からは北大第一農場がよく見え、牛や羊が草を食んでいる姿が見えました。北大恵迪寮の寮歌「都ぞ弥生」の一節「羊群声なく牧舎に帰り」を彷彿させる光景です。

北大恵迪寮
遠くにJRタワーや札幌中心部のビル群も見えます。牧歌的な風景が目の前に広がっていますが、やはりここが札幌の真ん中であることに気づかされます。

恵迪寮歌「都ぞ弥生」歌碑
平成ポプラ並木を過ぎると、石山通りに出ました。少し北に歩いて行くと、北大の学生寮「恵迪寮」があります。昔は教養部校舎のすぐ裏にあった寮ですが、いまでは北大正門からもっとも遠い奥に移っているんですね。
寮の前は移動手段の自転車がいっぱい。広い北大構内は自転車が必需品のようです。

エルムトンネル上の緑地
再びメーン通りに戻り、メーン通りの北の端、北18条門を出ると、公園のような所に出ます。ここはエルムトンネル(全長1100m)の上に当たり、遊歩道やベンチが整備されています。

札幌農学校第二農場
ここでしばし休憩した後、すぐ北側にある国の重要文化財、札幌農学校第二農場(北区北19条西8丁目)に向かいました。ここはクラーク博士の方針で明治10年(1877年)から明治11年(1878年)にかけて建てられた模範家畜房(モデルバーン)を中心とした9棟からなる農場施設群です。

札幌農学校第二農場横の白樺並木
ここも池があって、公園のようにきれいに整備されており、北大と札幌の長い歴史が感じられるスポットです。

北大マルシェ
この先にも様々な研究棟の間を歩き、北大第二農場に出たところでUターン。再びメーン通りを南に歩き正門まで歩いて戻りました。正門に戻る手前、中央ローンを過ぎた左手に「北大マルシェ」というカフェがあります。公園内のカフェという雰囲気です。
北大構内は広いです。休憩を取りながらゆっくり歩いて3時間半。札幌の歴史を感じながらの爽やかな夏の自然散策でした。
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