札幌市は、新しい清田区民センターを清田区役所近辺に建設する方針を固めました。今の区民センターの建物は解体せず、別の施設として活用、利用する方向で検討します。

清田区民センター

 これは、地下鉄東豊線建設促進期成会連合会(会長:牧野晃清田地区町内会連合会会長)が11月24日(火)、秋元市長に「地下鉄の清田方面延伸」を要望した際に、秋元市長が期成会側に答えたものです。

 清田区民センターは築38年の建物で、耐用年数はまだ20年以上あります。しかし、秋元市長は「耐用年数にこだわらず、区民センターの移転を検討する。今の清田区民センターの建物は別の施設への転用、活用を検討する。少し時間を頂きたい」と明言しました。

清田区役所庁舎

 清田区役所周辺は、市のまちづくり計画で「地域交流拠点」に位置付けられています。しかし、清田地区は市内17カ所の交流拠点の中で、唯一、地下鉄もJRの駅もないため、地域交流拠点の形成が進んでいません。

 このため秋元市長としては、地域交流拠点清田の形成を「1歩でも2歩でも前に進めるために」(秋元市長)、清田区民センターを区役所近辺に早期に建設する方向に舵を切ったと思われます。

 清田区民センターの移転は、かねてから区民から要望が出ていました。清田公園に隣接している今の区民センターは街から奥まった所にあり、近くにバス停もなく、車がないと利用しづらい立地環境にあります。

地域交流拠点の形成が望まれている清田地区(区役所周辺地区)

 さらに、清田区役所近くの「清田地区」に地域交流拠点を形成するためにも、人が集まる区民センターの清田地区への移転が望ましいという意見が区民から出ていました。

 こうして、札幌市(まちづくり政策局)は10月に発表した「地域交流拠点清田の拠点機能向上に向けた官民連携によるまちづくりの基本的な考え方」の中で初めて、「区民センターの将来的な建て替えに向けては、区役所周辺への移転を原則として検討します」との方針を打ち出したのです。

 この「官民連携によるまちづくりの基本的な考え方」は、「イオン平岡と連携して地域交流拠点清田の機能向上を目指す」ということを主な内容としたものですが、イオン平岡との連携が、どうして距離の離れた清田地区の地域交流拠点形成になるのか、違和感と疑問を感じます。

 その一方で、清田区民センターを清田区役所近辺に移転する方針は、期待する区民も多くいます。

 ただ、この「基本的な考え方」には、市有施設について、「鉄筋コンクリート造や鉄骨造等の建築物については、既存施設の標準目標年数を60年以上としているところ、80年間の使用を目指すこととしています」とも記載しています。これを見る限り、移転はかなり先の将来のように読み取れます。

 しかも、清田区民センターは2019年8月から2020年2月まで半年間も休館して、設備の全面改修工事を行ったばかりです。

 このため「移転が20年も40年も先では意味がない。もっと早くやってもらいたい」との意見が、清田区内の町内会連合会会長らから出ていました。

 そこで、11月24日の地下鉄期成会の市長要望の際に、鈴木亨清田中央地区町連会長が秋元市長に「区民センターの耐用年数を考えると、20年以上先になると思いますが、10年とか20年とかのスパンではなく、1年後、2年後には計画案が出てくるものと私たちは理解しています。この点、市長はどう進めていくのか、お聞かせください」と質問。

 秋元市長は、前述の通り、「老朽化した建物を建て替えるという視点だけでなく、少し前倒しして、清田区民センター移転と区民センターの跡利用の検討を進めていきたい」と答えました。

 区民センターを区役所近辺に移転するとなると、今後は、どのような区民センターを建設するのかが焦点になります。今の区民センターの機能をただ移すのではなく、区民が集まり、にぎわいをもたらすような複合的な機能を持った魅力ある区民センターにしたいものです。

 そのため、ぜひ、区民参加の協議の場をつくって市と区民が一緒になって計画を作っていく方向にしてほしいと思います。

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