札幌市は2月、「地域交流拠点清田の拠点機能向上に向けた官民連携によるまちづくりの基本的な考え方」を策定しました。そして令和3年度、その検討経費400万円を予算計上しました。進展がなかった「清田地区の地域交流拠点」形成の取り組みが動き出します。

地域交流拠点の形成が望まれる清田地区。西友の後ろに清田区役所と市民交流広場がある

 札幌市は、都市機能が集積し、地域の暮らしの拠点となる「地域交流拠点」を市内17カ所指定して、拠点を中核にした住み良いまちづくりを進めています。

地域交流拠点清田の核となる清田区役所庁舎

 17カ所とは、清田、新さっぽろ、大谷地、福住、月寒、白石、平岸、澄川、真駒内、光星、栄町、北24条、麻生・新琴似、篠路、琴似、宮の沢、手稲の各地区です。

 そして地域交流拠点として整備する「清田」とは、清田区役所、西友清田店、北海道銀行清田支店、きのとや、各種病院等が集積している地区のことです。

 市内17カ所の地域交流拠点の中で、地下鉄やJRの駅が無いのは「清田」だけです。ほかの16の地域交流拠点は、地下鉄またはJRの駅を中心に、バスセンターがあり、都市機能の整備がなされており、人々が集まる地域交流拠点の形成が進んでいます。

 清田のみ地下鉄もJRの駅もなく、従ってバスセンターもありません。人が集まる要素が少ないために地域交流拠点の形成は進んでいないのが現状です。

 札幌市は、地下鉄清田延伸については「札幌冬季五輪の招致に合わせ、札幌ドーム隣接の北海道農業研究センターの土地利用の状況を見ながら検討する」との姿勢です。しかし、このまま「地域交流拠点清田」が全く進まないのを放ってはおけないとして、市はようやく「一歩でも二歩でも前に進める」方向に動き出しました。

イオン札幌平岡。地域交流拠点清田とは1.7㎞離れている

 市は「地域交流拠点清田の官民連携によるまちづくり」構想を2020年10月、突如打ち出しました。これはイオン平岡(平岡3条5丁目)の増床、イオンホール建設、樹林地(イオンの森)の一部開発などイオン平岡の拡張計画と連携して「地域交流拠点清田」の機能向上を図ろうという構想です。

 ところが、イオン平岡の拡張整備が、移動距離で1.7キロメートルも離れた清田地区の地域交流拠点形成にどうつながるのか、どうもよく分かりません。むしろ市がイオン平岡の増床拡張を支援することで「地域の中心核がイオン平岡にもできて、地域交流拠点清田の形成がますます遠のく」といった危惧する声が結構多く聞かれます。

 市は短期的には「公共交通サービスの利便性向上」つまりバスで両地区をつなげるとしています。将来的には「効果的な取組を展開していく」というのみで、まったく具体像が見えてきません。この辺は、今後の検討で次第に明らかにされていくのでしょうか。

清田区民センター。区役所隣接地への早期の移転建て替えが望まれている

 市が打ち出した「まちづくりの基本的な考え方」の中で、よく分からないイオン平岡との連携よりも、地元清田区民が期待しているのは清田区民センターを清田区役所隣接地に移転、建て替えするという構想です。

 清田区民センターは築38年の建物です。市の耐用年数の基準では、建て替えはまだ20年以上も先です。「そんな先では話にならない」という声が区内の町内会連合会会長らから上がりました。

 すると、秋元札幌市長は2020年11月24日、地下鉄東豊線建設促進期成会(清田区と豊平区の町内会連合会などで構成)に対し、「耐用年数にこだわらず区民センターの移転を検討する。今の区民センターの建物は、別の施設への転用・活用を検討する」と表明したのです。

 清田区は、お祝いの会などができるホテルがありません。そこで、新しい区民センターは、単に今の区民センターの機能を移転するだけでなく、区民が集まって様々な催しをしたり、お祝いの会なども開催できるホール機能や、区内のさまざまなまちづくり団体等が交流できるスペース、清田区の魅力や産業、イベント等の様々な情報を発信できる機能などを求める声が根強くあります。

 それこそ官民連携で、民間による飲食スペース等があっても良いでしょう。地域交流拠点清田に人が集まり、にぎわいができる区民センターにしてほしいものです。

 もう一つ注目されるのは、清田区役所前の市民交流広場を整備する方針を市が示している点です。市民交流広場は、きよたマルシェ、きよフェスなどを開催してきましたが、ここに芝生を張り詰めるなど、市民交流広場に人が集まりやすい改良を加えることなどが想定されている模様です。

 令和3年度は、清田地区の事業者や地権者らへの意向調査や、地域住民とのワークショップの開催などの検討組織を立ち上げて、検討を進める模様です。

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