明治初期、北海道の酪農・畜産の礎を築いたアメリカ人エドウィン・ダン。その功績を偲ぶエドウィン・ダン記念館(札幌市南区真駒内泉町1丁目)を訪ね、エドウィン・ダン記念公園を散策して来ました(2021年10月12日)。

エドウィン・ダン記念館

 エドウィン・ダン記念館は、地下鉄南北線真駒内駅から徒歩10分ほどのところに静かにたたずんでいます。

 この洋風建築の建物は明治13年(1880年)に、北海道開拓使に招かれたアメリカ人エドウィン・ダンによって、開拓使の「放牛場の事務所」として建てられたそうです。

 今の真駒内公園と周辺に明治9年(1876年)、ダンの指導で「開拓使真駒内放牛場」が創設されました。その後、開拓使が廃止されたのに伴い、「北海道庁真駒内種畜場」と改称されました。

 昭和21年(1946年)に米軍に接収されるまでの70年間、種畜場とその事務所は北海道の酪農・畜産発展に大きく寄与したといいます。

 昭和39年(1964年)、解体予定だった事務所を、有志が現在のエドウィン・ダン記念公園内に移築。建物を保存しながら、エドウィン・ダンの業績を紹介する記念館として公開しています。

エドウィン・ダン記念館の内部

 館内には、著名な洋画家一木万寿三氏による23枚の油絵でエドウィン・ダンの業績を紹介しているほか、当時の貴重な写真やゆかりの遺品などが展示されています。明治初めの札幌の開拓スピリッツが伝わって来るかのようです。

 記念館を出ると、そこはもう記念公園です。

絵のように美しいエドウィン・ダン記念公園

 エドウィン・ダン記念公園(旧真駒内中央公園)は、ダンが放牛場の第1号牧舎を建てたゆかりの深い場所だそうです。

公園内の散策路

 公園内をエドウィン・ダンの提案でつくられた真駒内用水が今も流れ、公園内で池を作っています。池と周囲の木々が織りなす風景は、まるで西洋画のような美しさがあります。

 真駒内用水は明治12年(1879年)、真駒内放牛場の家畜の飲み水や農機具の洗浄、水車の動力用などの目的でつくられたそうです。

公園内に建つエドウィン・ダンの像

芝生広場

 真駒内川を水源とし、澄川西小学校付近で精進川に至る全長4㎞。今では農業用水としての役割を終え、都市景観に寄与する水辺になっているようです。今もエドウィン・ダンの時代の息吹を感じられる用水路があり、水がさらさらと流れているというのは、ちょっと感激です。

 園内は芝生広場もあり、変化に富んでいます。エドウィン・ダンの像も建っていました。

シロハギの花

 公園の面積は2万4000㎡。園内には散策路が設けられ、ゆっくりと歩いて30分ほどで散策できます。かなりきれいに管理整備されている公園という印象を受けました。

 公園内は紅葉が始まっていました。秋の花シロハギが咲いていました。

■エドウィン・ダン記念館
〇場所 札幌市南区真駒内泉町1丁目6番地(地下鉄真駒内駅から徒歩10分)
〇開館
・夏期(4月1日~10月31日)9時30分~16時30分。水曜休館
・冬期(11月1日~3月31日)金・土・日のみ開館。年末年始休館
〇入場無料

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