東日本大震災復興支援の土田英順チャリティー・チェロ・コンサート2021が11月28日(日)、里塚・美しが丘地区センター(清田区里塚2条5丁目)で開催されました。

演奏する土田英順さん

 土田英順さんは、2011年3月に発生した東日本大震災の後、道内外や被災地にチェロを抱えて行き、各地でチャリティーコンサートを行ってきました。今回で468回目になるそうです。

 コロナ禍の中では、なかなかコンサートもままなりませんでしたが、今回は感染が下火になっていることから、里塚・美しが丘地区センター(指定管理者:NPO法人ワーカーズコープ)が開催に踏み切りました。

 ただ、観客は80人に制限し、感染対策をしての開催でした。

多くの人が演奏に耳を傾けました

 ダンディーな服装で登場した土田さんはまず、カタルーニャ民謡「鳥の歌」とバッハ「無伴奏チェロ組曲第1番」を演奏。チェロの豊かな音色が会場に流れました。

写真を見せながら福島の話をする土田さん(黒マスク)

 そして、土田さんが福島県の被災地で写した写真を紹介しながら、福島の原発事故のその後の様子を話してくれました。

 土田さんは「福島県では、住宅地や子供たちが遊ぶ公園のすぐ横に、放射性廃棄物や放射能に汚染された土を入れた大きなフレコンバッグがあちこちに積み上げられています。住民から『毎日、黒い袋を見て暮らすのはつらい』と言う声が上がると、それらを緑色のシートでかぶせたりしています。これが、僕が見てきた福島の現実です」と静かな口調で話しました。

 そして「東京五輪の際、首相が『復興を世界に発信』と言っていましたが、とても僕には復興しているようには見えません」と語り、会場の聴衆は静かに耳を傾けていました。

 いったん休憩の後、再びチェロの独奏を行いました。バッハ「G線上のアリア」、ショパン「ノクターン第20番」「ノクターン第2番」、エルガー「愛の挨拶」、シューベルト「アヴェマリア」などおなじみの名曲を、見事な演奏で次々と披露しました。

 土田さんのチェロ演奏は、静かで慎み深く、被災地と被災した人たちへのエールを感じます。そして、演奏会場になった里塚や清田区へのエールにも聞こえる素晴らしい演奏でした。

コンサート後はサイン会も

 会場の聴衆の皆さんも、静かに、それぞれ様々な思いをもちながら聴き入っている様子でした。こうした一流の演奏を身近に聴けるのはありがたいですね。

 最後に、土田さんが被災地の子供たちを励ますコンサートで弾いてきた童謡「どんぐりころころ」を弾いて幕となりました。

会場に置かれたチャリティー募金箱と活動支援金の募金箱。多くの人が募金に応じていました

 土田英順さんは、日本フィル、新日本フィル、札幌交響楽団の首席チェロ奏者を歴任。ボストン交響楽団でも演奏していました。現在はソリストとして活躍しています。

 会場には、被災地支援のための募金箱が用意され、募金集めが行われました。この募金は土田さんが2012年3月に開設した「東日本大震災支援じいたん子ども基金」を通じて被災地のために使われます。

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