秋元札幌市長は3月9日(水)の定例記者会見で、地下鉄東豊線の清田区方面への延伸について「札幌ドーム周辺の土地利用について、延伸にプラスに働くのか、しっかりと検証していきたい」と発言しました。HBC記者の質問に答えました。

秋元札幌市長

 「札幌ドーム周辺の土地利用」って、そもそも何でしょうか。それは、札幌市が2021年10月に発表した「札幌ドーム周辺地域におけるスポーツ交流拠点基本構想」のことです。

記者会見する秋元市長=2022年3月9日

 これは、札幌ドーム隣接の北海道農業研究センターの土地(国道36号線と羊ケ丘通に挟まれた区域)を市が新たに買収して、アイスホッケーやプロスポーツ、各種イベントが開催できる「アリーナ」、ラグビー場や多機能スポーツ施設の「屋内・屋外スポーツ施設」、民間による「飲食・物販施設」等を整備する市の計画です。

北海道農業研究センター正門

 老朽化している月寒体育館とラグビー場に代わる施設で、札幌ドームとともに2030年冬季札幌五輪・パラリンピックの会場となることを想定した施設でもあります。

札幌ドーム。この奥の隣接地にスポーツ交流拠点の諸施設が造られる

 札幌市は、さらに国の冬季競技強化拠点ハイパフォーマンスセンターも、この地区に誘致することを念頭に活動しています。

清田地区。札幌市はかつて清田まで地下鉄延伸計画を掲げ、地域住民に約束していた

 こうした施設が整備されるとなれば、そこに行き来する人の足=大量輸送機関が当然、必要になります。地下鉄福住駅からでは、遠くて歩いて行けません。地下鉄延伸が必要になってきます。スポーツ交流拠点まで地下鉄を延伸したら、清田まであとわずかです。

 この「札幌ドーム周辺の土地利用」と「地下鉄の清田方面延伸」について、秋元市長は3月9日の記者会見で、次のように発言しました。

地下鉄の清田方面延伸ルート

 「札幌ドーム周辺の土地利用などについても、今、議論をしていますけども、そういったものがどう影響してくるのか、(地下鉄延伸に)プラスに働くのかというようなことについて、しっかりと検証しながら、今後、議論していきたいと思います」

 秋元市長は選挙公約で「2030年冬季五輪招致に合わせて、北海道農業研究センターの土地活用の状況を見て検討する」と述べています。ぜひ、地下鉄の清田方面延伸の英断を下してほしいと思います。

HBC「今日ドキッ」で報道=2022年3月9日

 HBCテレビは3月9日(水)、「秋元札幌市長 五輪招致見据え 地下鉄の清田延伸『検証したい』」とニュースで報道しました。

 さらに、記者会見でHBC記者は、札幌市が延伸できない理由としてきた国の「30年ルール」についても、秋元市長の見解をただしました。

 上田前市長と秋元市長はこれまで、「開業後30年で黒字化することが必要という国の基準(30年ルール)があって、清田延伸はそれがネックとなって難しい」と、住民団体の地下鉄東豊線建設促進期成会や市民・清田区民に説明してきました。

 ところが、今年2月、国会で国土交通省鉄道局長が「30年という一応の目安はあるが、地方の公営交通の場合は、事業主体がしっかりしていることから、より柔軟に対応している」と、「30年基準」にこだわらない見解を示しました。

 これは荒井優議員(立憲民主党、比例北海道ブロック・北海道3区=白石区、豊平区、清田区)の質問に答えたもので、市の説明の根拠を覆す画期的な答弁でした。

 HBC記者は、この「30年ルール」をめぐる国の見解について、秋元市長の考えをただしました。記者とのやり取り、市長の答弁は、下記の通りです。

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HBC記者
 地下鉄東豊線の延伸について質問します。これは、地元住民から市に要望が長年ずうっとありましたが、市長は、これまで「『30年ルール』という『国の基準』があるので、なかなか実現できない」という説明をしてきました。

 しかし、先月2月、国会で、「公共交通の場合は、より柔軟な対応をしますよ。30年には限らない」というような発言が、国土交通省鉄道局長からありました。

 これについて、清田方面への延伸について、市長のお考えをうかがいたいと思います。

秋元市長
 基本的に、地下鉄延伸に伴う事業費は、交通事業者として負担して、それを料金で回収するという仕組みになります。従って、多くの人が乗って、その事業費を将来的に賄っていけるのかということ、つまり事業採算性が一番重要なわけです。

 現状においては、清田方面への延伸は、事業採算性がなかなか黒字化の見通しにならないということです。

 で、今、質問にあった黒字化の期限を30年とするか、もう少し柔軟に長くするかということですが、これまでは30年ということがかなり出されていました。仮に、これが40年、50年と柔軟に対応したときに、黒字化ができるのかどうかということに、延伸の実現性はかかってきます。

 現状では、清田方面は人口が減っていくことが推計されておりますので、まず、この事業採算性がきちっと取れるのかどうか、将来にわたって、じゃ何年なら黒字化になるのかというようなこと、そういう事業採算性が重要になってくると思います。

 ただ、今後も、例えば、札幌ドーム周辺の土地利用などについても、今、議論をしていますけども、そういったものがどう影響してくるのか、(地下鉄延伸に)プラスに働くのかというようなことについて、しっかりと検証しながら、今後、議論していきたいと思います。

HBC記者
 それについて、現地調査など実務的な部分はまだ全然進んでいないということでしょうか。

秋元市長
 現状の推計では、なかなか難しいということです。で、今後のドーム周辺の土地利用の在り方が、これからどう進んでいくのか、プラス要素の部分がどこまで出てくるのか、状況を見ていきながら議論していかなければならないと思っています。

HBC記者
 ありがとうございます。

(※)地下鉄東豊線建設促進期成会連合会は毎年、札幌市長に要望書を出して地下鉄延伸を求めています。令和3年度の要望署は、こちらをクリックしてください。

(※)地下鉄の清田方面延伸の経緯は、こちらをクリックしてください。

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