世界文化遺産に登録されたキウス周堤墓群(千歳市中央2777ほか、国道337号線沿い)に行ってきました(2022年5月26日)。この遺跡は「キウスの森」と呼ばれる森林の中にあり、世界遺産を見ながら、森林浴散歩も楽しめます。

キウス周堤墓群の森

 周堤墓とは、縄文時代後期(約3200年前)に恵庭、千歳、苫小牧などに集中して造られた集団墓。地面に大きな円い穴を掘り、その土で周囲に土手を造り(周堤)、穴の中に1基~数十基の墓穴を設けたものだそうです。

森の中の周堤墓の土手

樹木の向こうに周堤墓が見える

 周堤墓の大きさ(直径)は、一般的には10~30mですが、キウス周堤墓群では70mを越える大型のものがいくつも群集しています。

 明治時代に発見され、当初はアイヌのチャシ(砦)と思われていましたが、昭和25年(1950年)以降は、縄文の集団墓と認識されるようになりました。

 1979年に国の史跡に指定され、2021年には「北海道・北東北の縄文遺跡群」の1つとしてユネスコの世界文化遺産に登録されました。

クサノオウ

 周堤墓群には駐車場があり、見学・散策マップなどが置いてある案内所もあります。

 遺跡の中に一歩入ると、そこは緑濃い森です。

チゴユリ

 少し歩くと、大きな周堤墓の土手が目の前に現れます。といっても、ただの土手にしか見えません。

 ただ、ここが3200年前の縄文人が生活していたことに思いをはせると、はるか昔の歴史ロマンを感じたりします。

マムシグサ

 遺跡は大きな樹木からなる森林の中にあり、その足元には野の花が可憐に咲いています。

 ヤブニンジン、クサノオウ、マムシグサ、ユキザサ、チゴユリなどの花が周堤墓の森の中で控えめに咲いていました。

ユキザサ

 ここを訪れる多くの人は、周堤墓を見て歩くのでしょうが、野の花を探しながら歩いても楽しい森林です。世界遺産で森林浴散歩なんて、なかなか経験できません。

国道337号の両側の森がキウス周堤墓群

 国道337号線を渡った向かいの森林にも周堤墓群の遺跡が続いています。国道337号線は、この遺跡の周堤墓の上を踏んづけるように走っていますが、昔は世界遺産になるような貴重な遺跡だとは思わず、道路を造ったのでしょう。

 遺跡から発掘された土器、石器、土偶、石棒などは千歳市埋蔵文化財センター(千歳市長都42-1)に展示されています。

バスツアー客が来ていました

 森の中を散策していたら、北海道ツアーの団体がバス2台でやってきました。今や観光ルートにも入っているようです。

[広告]