清田区に隣接する上野幌の雪印バラ見本園(札幌市厚別区上野幌1条5丁目1-6)のバラが咲き始めています(6月25日)。ここは、雪印発祥の地でもあり、バラ以外にも歴史的建造物なども見ることができます。

雪印種苗バラ見本園=2022年6月25日

 バラ園は、雪印種苗園芸センターの中にあります。園芸センターは、花や苗木、園芸用品などを販売するところですが、その中にバラ園はあります。

 ここのバラ園は手入れがとてもよく、園内は芝生が敷き詰められ、華やかな雰囲気とバラの香りに包まれています。

 約300種、1000本のバラが植えられているそうで、10月ごろまでバラを楽しむことができます。一番の見頃は7月上旬から8月上旬までだそうです。

バラの苗木売り場

 バラ園の隣には苗木売り場があり、ここでバラの苗木を買うことができます。専門スタッフがいるので、いろいろと相談もできそうです。

 苗木売り場のさらに奥に行くと、「雪印バター誕生の記念館」という木造の建物があります。ここは、大正14年(1925年)、雪印乳業(現:雪印メグミルク)の前身の北海道製酪販売組合がバターの製造を始めたところです。

雪印バター誕生の記念館

 建物は一旦なくなったのですが、昭和56年(1981年)に復元。経済産業省の近代化産業遺産に選定されている建物です。中をのぞくと、昔のバターづくりの風景が展示されています。

 バターの製造を始めた当時の販売担当は黒沢酉蔵氏だったそうです。黒沢氏は、酪農学園大学の前身となる北海道酪農塾を創設するなど北海道の酪農発展に大きな功績を残しました。近代北海道の歴史を感じる建物です。

札幌の代表的洋風建築の「旧出納邸」

 この「雪印バター誕生の記念館」の前には「旧出納邸」という洋館の建物があります。この付近は昔、酪農の勉強のためデンマークに留学した出納陽一氏という人が開いた牧場で、「旧出納邸」は敷地内に出納氏が大正14年(1925年)に建てた邸宅でした。2階は各地から集まった実習生たちの寝室だったそうです。

旧牧場のサイロ

 今は、雪印種苗園芸センター(バラ園を含む)の運営会社であるグリーンプランナーという会社の事務所になっています。

 この「旧出納邸」は、札幌の洋風建築の代表的なもので、「さっぽろ・ふるさと文化百選」に選定されています。敷地内には、出納牧場のサイロもそのまま残されており、往時がしのばれます。

バラ園から見た「恵庭荘」

 敷地内には、もう1軒、昔の和風建築の歴史的建造物があります。バラ園からも、きれいに刈り込まれた芝生の向こうに建物が見えます。これは「恵庭荘」という建物で、これも「さっぽろ・ふるさと文化百選」に選定されています。

 この建物は、明治26年(1893年)、札幌の呉服商が南5条西2丁目に立てた邸宅でした。京都の宮大工による純和風の造りで、その後、大正から昭和初期まで料亭として使われたそうです。

バラ園のすぐ横には木々に囲まれた散策路もある

 それを昭和39年(1964年)、雪印種苗の迎賓館として現在地に移築したそうです。「恵庭荘」という名称は、当時、正面に恵庭岳が眺められたことから付けられたといいます。一般公開はされていません。

 雪印バラ見本園に行った際は、バラの鑑賞だけでなく、北海道の酪農や雪印乳業を築いた先人たちの息吹にも触れてみてはいかがでしょうか。入園無料、駐車場あり。

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