2030年札幌冬季リンピック招致は、地元札幌市民の賛成率の低さが懸念されていますが、札幌10区の中で清田区は最も賛成率が高い区です。五輪招致を機に地下鉄の清田延伸への期待があるからと思われます。

 札幌市が今年3月に行った2030札幌冬季五輪招致市民意向調査によると、五輪招致に「賛成」と「どちらかといえば賛成」を合わせた賛成派が52.2%。一方、「反対」と「どちらかといえば反対」を合わせた反対派が38.2%でした。賛成派がかろうじて50%を超える結果でした。

 この中で、清田区は賛成派が最も多い区であることが明らかになりました。「賛成」と「どちらかといえば賛成」を合わせた賛成派の各区の比率は次の通りです。

■2030冬季五輪各区賛成率(高い順)
清田区 56.1%
豊平区 55.6%
中央区 55.0%
北区  53.7%
南区  51.6%
手稲区 50.5%
白石区 50.4%
東区  50.0%
厚別区 49.5%
西区  49.1%

 一方、「反対」と「どちらかといえば反対」を合わせた反対派の各区の比率は次の通りです。清田区が最も反対派が少ない区となっています。

■2030冬季五輪各区反対率(低い順)
清田区 34.8%
豊平区 35.5%
中央区 37.1%
北区  37.9%
手稲区 38.6%
南区  38.8%
東区  39.2%
白石区 39.7%
西区  40.3%
厚別区 40.4%

 清田区が2030年札幌冬季五輪招致に賛成が最も多く、反対が最も少ない区である背景には、地下鉄を福住駅から清田区まで延伸することへの期待があると指摘されています。

 山田一八清田区長も7月21日(木)、清田区役所で行われた清田地区町内会連合会などとの地区懇談会で、「清田区が全区の中で一番賛成率が高い背景には、地下鉄延伸への期待があるからでしょう」と述べました。

 1972年札幌冬季五輪では、地下鉄が札幌で初めてでき、地下街もできました。冬季五輪をきっかけに、札幌は大きく変わり、発展したのです。

 やはり五輪を契機に、まちが変わる、インフラが整備される、市民はそこを期待しているのです。それがないならば、五輪への市民、清田区民の期待は急速にしぼむでしょう。

 現に、「地下鉄が来ないのなら、私は五輪には反対です」という清田区民は結構います。

今年も清田区民まつりの会場には「清田区へ地下鉄を」ののぼりが立った=2022年7月23日

 もともと地下鉄の清田延伸は、札幌市が言い出したことで、市の長期計画にも載せていました。膨張する札幌市の人口の受け皿として、清田区において住宅開発を誘導し、そこに住む住民の足として地下鉄を計画したのです。

 秋元市長はいま、「札幌冬季五輪招致との絡みで、札幌ドーム隣接地の北海道農業研究センターの土地活用が変わっていく。それを見ながら延伸を検討する。ただし、現状では採算性から難しい」というスタンスを表明しています。

 札幌市は2021年10月、札幌ドーム隣接の北海道農業研究センターの土地に新月寒体育館(アリーナ)や屋外競技場(ラグビー場)、飲食商業施設等を造るスポーツ交流拠点を建設する構想を発表しました。

 この北海道農業研究センターの土地(国道36号線と羊ケ丘通に挟まれた土地)は今後、清田区との境界まですべて札幌市の都市機能の用地として活用されていくことが予想されます。当然、地下鉄の延伸が期待されます。

 札幌の街が変わる―これがなければ、市民の賛成率はさらに低迷することになるでしょう。市民が期待しているのは、五輪を契機に住みやすい便利な街になるということです。

[広告]