北海道開拓の村(札幌市厚別区厚別町小野幌50-1)に、昔、清田区内にあった酪農畜舎が移築・復元されています。「清田区にも昔、このような北海道らしい酪農畜舎があったのか」と感慨深いものがあります。

旧小川家酪農畜舎=北海道開拓の村

 この畜舎は、「旧小川家酪農畜舎」と呼ばれる建物です。周辺は牧場の雰囲気も再現されていて、いかにも北海道らしい景観になっています。

 この建物は、札幌市清田区平岡公園東9丁目にあった酪農畜舎で、昭和61年(1986年)に移築・復元作業が始まり、昭和63年(1988年)に公開されました。

 建物は、大正末期に札幌農学校出身の小川三策という人がアメリカから取り寄せた設計図を参考に建築したもので、19世紀のアメリカで発達したバルーンフレーム構造が特徴だそうです。

 バルーンフレーム構造とは、ツーバイフォー工法(枠組壁工法)の前身で、札幌時計台などが、この工法の代表的な建物だそうです。

 建物は、木造2階建てで、面積は81.23坪(268.54平方メートル)。

 隣に建つ軟石(溶接凝灰岩)のサイロは、昭和8年道庁発行の設計書を再現したものだそうです。

酪農畜舎の内部

 酪農畜舎の中は、搾乳など酪農の作業に使う道具などが展示されていて、ホルスタイン牛のオブジェも置かれています。北海道の酪農の歴史などの案内板もあります。

 ただ、この酪農畜舎は平成25年〈2013年〉、雪の重みで崩壊してしまいました。経年劣化で強度が下がっていたと考えられます。そして平成30年(2018年)4月、再生されました。

かつて清田区にも、このような牧歌的な風景があったのだろう

 この酪農畜舎があった清田区平岡公園東9丁目界隈は、今は美しい街並みの住宅街になっています。旧小川家酪農畜舎のガイドさんによると、宅地開発されたとき、開拓の村に寄贈されたとのことです。案内板には、寄贈者は「小川キヨ」さんと表記されています。

 この酪農畜舎が建った大正時代、この建物の地名は「札幌郡豊平町大字月寒村字三里塚」でした。

 北海道開拓の村は昭和58年(1983年)に開村。明治から昭和初期に建てられた52棟の歴史的建造物が移築・復元・再現されています。旧小川家酪農畜舎はそのうちの1棟です。

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