新清田区民センターの検討ワークショップが8月5日(火)、清田区役所で行われました。
区役所に隣接して建設する新区民センターは、区民ホールと清田図書館(区役所4階から移設)とフリースペースの主な3つで構成し、集会室などの貸室や区民センター事務所は現在、清田図書館がある4階に造るという案が、札幌市側(札幌市が委託したコンサル)から示されました。
現在の区民センターは清田公園の隣、清田緑地の前にあります。耐用年数はまだ数十年ありますが、札幌市はさっぱり進まない「地域交流拠点清田」のにぎわいをつくり、その形成を少しでも進めるために、区民センターを地域交流拠点清田の区役所隣に移転することにしました。
地域交流拠点清田の形成が進まないのは、地下鉄駅がなく、したがってバスターミナルもないため交通結節点になっていないからです。
札幌市は市内17か所を地域交流拠点として指定し、そこを中心に各地域のまちづくりを進めていますが、地下鉄またはJRの駅がないのは清田だけで、それがネックになっているのです。
さて、この日のワークショップではまず、新区民センターの建設場所として、現在の市民交流広場に建てるA案と、区役所の真ん前に建てるB案が有力案として示されました。まだどこにするかは決めていません。
A案、B案にはなお異論があるようです。区役所敷地の一番奥、現在草地(空地)になっている所(市有地)では本当にダメなのでしょうか。
そして、新区民センターの構想案が示されました。なんと、新区民センターは区民ホールと清田図書館で構成し、集会室などの貸室や区民センター事務所は現在、清田図書館がある区役所4階に設けるというのです。
現在、清田区民センターの貸室は、集会室5室(定員12名~36名)、和室3室(定員13名~30名)、視聴覚室1室(定員63名)、陶工芸室1室(定員32名)、料理実習室1室(定員30名)の計12室あります。ほかに区民ホール(定員380名)と事務室があります。
貸室を区役所4階に持っていき、別棟の新清田区民センターは区民ホールと清田図書館、フリースペース(ロビー)で構成するという案には、岡本北野町連会長をはじめワークショップ出席者から疑問や反対の声が相次ぎました。
ワークショップに出席した清田地区商工振興会の山田会長も「清田図書館の移設など誰も望んでいない。唐突に、こんな話が出てきてとんでもない。話の進め方がおかしい」と猛反発しています。
突如、新区民センターに清田図書館を移設するという案が出てきたことに驚きと反発の空気がワークショップ会場を包みました。「そんな案を区民が望んだのでしょうか。聞いたことがない」という声が上がりました。
そして、「区民ホールと貸室・事務所を分離したら使い勝手が悪くてしょうがない」という声も聞かれました。
現状、区民ホールと貸室は一体のものとして運営されているケースが多々あり、区民センターの機能(貸室と区民ホール)を真っ二つに分解するのは、やはり疑問です。
たとえば毎年10月、2日間にわたって清田区民センターで開催される区民文化祭。これは区民ホールで合唱や詩吟、日本舞踊、フラダンスなどのステージ部門が発表され、各貸室で工芸や生け花、木彫、絵画、写真、茶道などの展示・発表がステージと一体のものとして行われています。
毎年、清田区民の晴れの舞台として区民センター全館使っての区民文化祭が定着しています。貸室と区民ホールを別の建物に分離したら、ここまで培ってきた一体感のある区民文化祭はできなくなります。
清田区子ども会も、区民ホールと貸室の全館を使って清田区子どもまつりや子ども会リーダー研修会を行ってきました。清田区子ども会の代表も、この分離案には反対の意向を表明しました。
また、区民ホールで行うコンサートや講演会等は、貸室が出演者や講演者の楽屋・控え室などになることが多く、区民ホールと貸室は一体のものという感じです。
そもそも、清田区民センターの集会室などの貸室では、サークルの集まりだけでなく歌声喫茶やパソコン講座、子育てサロン、研修会、講習会、地域の集まり、企業のPRなど一般の区民が参加する行事が日常的に開催され、人の出入りも結構あります。
そうした人の出入りがあるからこそ、コミュニティー機能のある区民センターなのじゃないですか。それを区役所4階に持って行って、どうしようというのでしょうか。
確かに、最近の図書館は、全国的に見れば、地域のコミュニティー形成の場を目指したり、スターバックを入れたおしゃれな図書館だったり、さまざまな斬新で先進的な取り組みが行われているケースがあります。
この日の新清田区民センター検討ワークショップでも、「札幌市図書・情報館」(札幌市中央区北1条西1丁目、札幌市民交流プラザ1・2階)の例がコンサルから紹介されました。
これについても、出席者から「札幌の中心部なら、斬新な図書館もいいでしょうけど、清田にはそぐわないと思います」との声が聞かれました。
実際、出席者からは「清田図書館を全部移設するのではなく、新区民センターのフリースペースに、図書館の新聞・雑誌閲覧コーナーだけを移設するのがいいのでは」との声が上がっていました。
新清田区民センター検討ワークショップは、清田区内の町内会、企業、各団体関係者、高校生、大学生、学者、公募に応じた一般区民らで構成。この日のワークショップには20人ほどが出席しました。
ワークショップは昨年11月に札幌市が立ち上げ、この日のワークショップは4回目。これまで新清田区民センターのコンセプトづくりの議論をしてきました。
今後、9月と10月にもワークショップを開催し、来年(2025年)3月に、市は基本計画を策定する予定です。
その後、2025年度以降に設計・工事に入るという予定ですが、いつ完成するのか、市は発表をしていません。
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