昭和初期の懐かしい歌謡曲を歌う人気兄弟バンド「東京大衆歌謡楽団」が9月12日(木)、厚別(あしりべつ)神社=札幌市清田区平岡2条1丁目=の例大祭にやって来ました。
境内の特設ステージで、昭和初期~昭和30年代の懐かしい歌謡曲を30曲余り歌い、郷愁を誘う歌声が、お祭りで賑わう厚別神社の境内に響き渡りました。
東京大衆歌謡楽団は、髙島孝太郎さん(ボーカル)、雄次郎さん(アコーディオン)、龍三郎さん(ウッドベース)、圭四郎さん(バンジョー)の4人兄弟でつくるバンド。
昔の歌を歌うバンドですが、ボーカルの髙島孝太郎さんは41歳、他の3人は30代の若さです。
ボーカルの髙島孝太郎さんは、あの昭和歌謡の大御所、東海林太郎さんを思わせる風貌と歌い方が特徴です。
そして、その歌声と音楽は、懐かしきあの日、あの時代がよみがえってくるので、全国の中高年を中心に多くのファンがいます。
東京・浅草を拠点に全国で演奏活動を行っており、若い世代のファンも増加しているようです。
東京大衆歌謡楽団の演奏は、YouTubeに数多く公開されており、札幌や北海道のファンはふだんYouTubeで彼らの演奏を聴いたり見たりしていますが、この日は、札幌市清田区の厚別神社例大祭にやって来るとあって、境内のステージ前はぎっしりとファンで埋まりました。
椅子が足りなくなって、急きょ後ろの方にブルーシートを敷いてしのいだほどです。
午後5時、少し前に行われた神輿渡御の宮入りの余韻がまだ境内に残る中、4人が舞台に登場。「旅の夜風」(昭和13年、霧島昇さん・ミスコロムビア)の歌で、厚別神社鎮座150周年記念奉納公演は始まりました。
名調子の曲の紹介と司会は、いつものようにアコーディオンの髙島雄次郎さん。「昭和11年、若人よ、胸張って人生の春を謳歌せよ。いざや歌わん、我らの歌を。『東京ラプソディ』です」と曲紹介して、2曲目の「東京ラプソディ」(昭和11年、藤山一郎さん)の演奏に入りました。
早くも会場は手拍子したりしてノリノリに。曲の最中や合間には、ステージ前に置かれた黒いハットの中に次々とファンが投げ銭を入れていきます。そのたびに、ステージ上のボーカルの髙島孝太郎さんは深々とお辞儀をします。
「旅姿三人男」では、東京大衆歌謡楽団に付いている若い男性3名がステージ前で歌に合わせて踊りを披露する一幕もありました。
このようにして午後5時からの1回目のステージは、懐かしの歌が次々と歌われ、最後に岡晴夫さんの「憧れのハワイ航路」(昭和23年)と、いつものように続けて「青春のパラダイス」(昭和21年)で盛り上がってエンドとなりました。
明るい曲調の「青春のパラダイス」は、きっと戦後の日本人を力強く励ましたのでしょうね。
2回目のステージは、すっかり暗くなった境内で、藤山一郎さんの「青い背広で」(昭和12年)の歌唱から始まりました。第2ステージも会場はファンでいっぱい。
最後の曲は、景気のいい「お富さん」(昭和29年、春日八郎さん)。しかし、アンコールがかかり、菅原都々子さんの「月がとっても青いから」(昭和30年)で終演となりました。
演奏を終え、ステージから降りてきたボーカルの髙島孝太郎さんを多くのファンが囲み、しばし孝太郎さんと握手したり、記念写真を撮ったりしました。
会場は、やはり中高年の方が多くいましたが、皆さん、存分に東京大衆歌謡楽団のライブ演奏を楽しみ、青春が蘇ったような表情でした。
中には、高齢者施設の職員に連れて来てもらったような車椅子の高齢女性もいて、感激した面持ちで演奏を聴いていました。このステージを楽しみにしていたんでしょうね。
高齢者だけでなく、会場には若い人やカップルもいました。演奏後、髙島孝太郎さんとの記念写真を撮ってもらい、ご機嫌な様子でした。お祭りに来た子供まで、会場の隅で熱心に演奏を聴き入っていました。
■東京大衆歌謡楽団が厚別神社奉納演奏で歌った主な曲
「旅の夜風」(霧島昇・ミスコロムビア:昭和11年)
「東京ラプソディ」(藤山一郎:昭和11年)
「緑の地平線」(楠木繁夫:昭和13年)
「人生劇場」(楠木繁夫:昭和13年、村田英雄:昭和34年)
「かえり船」(田端義夫:昭和21年)
「旅姿三人男」(ディック・ミネ:昭和13年)
「君恋し」(二村定一:昭和3年、フランク永井:昭和36年)
「銀座カンカン娘」(高峰秀子:昭和24年)
「東京の灯よいつまでも」(新川二朗:昭和39年)
「柿の木坂の家」(青木光一:昭和32年)
「憧れのハワイ航路」(岡晴夫:昭和23年)
「青春のパラダイス」(岡晴夫:昭和21年)
「青い背広で」(藤山一郎:昭和12年)
「名月赤城山」(東海林太郎:昭和14年)
「山小屋の灯」(近江俊郎:昭和23年)
「赤いランプの終列車」(春日八郎:昭和27年)
「哀愁列車」(三橋美智也:昭和31年)
「お富さん」(春日八郎:昭和29年)
「月がとっても青いから」(菅原都々子:昭和30年)
ほか
[広告]