
三角ベース(昔よくやりました。原っぱによくあった土管も描かれています)

野島理さん

ありふれた朝の情景
昭和30年代の懐かしい街並みと人々の暮らしを描く画家、野島理さん(自宅兼アトリエ:札幌市清田区清田)が5月28日(水)から6月8日(日)まで「ギャラリー犬養」(札幌市豊平区豊平3条1丁目1-12)で個展「昭和30年代情景画展」を開催しています。

駄菓子屋と三菱鉱業バス
昭和34年(1959年)、札幌生まれの野島さんは、「日本人みんなが明日を信じて頑張った、そして心が豊かだった昭和30年代」が大好きで、昭和30年代の「心象風景」をアクリル絵の具で描き続けています。
心象風景とは、「現実ではなく心に中に思い描いたり、浮かんだり、刻み込まれている風景」のことです。野島さんの作品は、昭和30年代の北海道の「心象風景」を描いた独特の絵です。

馬跳び(みんな外で遊んでいました)
北海道の心象風景ではありますが、東京の下町の懐かしい心象風景にも見える作品群です。今回の個展では、小品を中心に60点を展示しています。

ゴムとび
原っぱや道端で子供たちが元気で遊ぶ姿がたくさん描かれています。原っぱでやった三角ベース、馬跳びやチャンバラごっこ、女の子のゴム跳び。どれも懐かしい光景です。野島さんは「今は街で子供たちの姿はあまり見なくなりましたが、あの時代の子供たちはみんな外で遊んでいましたね」と懐かしそうに話します。

今晩はサンマ!(外の七輪でサンマを焼いているお母さん。それを見る子供たち。懐かしい風景)
「今晩はサンマ!」という作品は、お母さんが七輪でサンマを焼いて、周りで子供たちが無邪気に遊んでいる光景を描いた作品。あの時代、日本のどの街にもあった懐かしい風景です。

お父さんのスバル(昭和33年、軽自動車スバル360発売。隣は石焼き芋屋さん)
「スバル」や「オート三輪」、「ボンネットバス」など懐かしい自動車もふんだんに描かれています。もちろん蒸気機関車も。そして馬車や馬そりまで。

テレビが来た日
「テレビが来た日」は、まちの電気屋さんが軽トラでナショナルのテレビを運んできた日の絵。あの頃の子ども(当然今は高齢者)は、自分の家に初めてテレビが届いた日のことをよく覚えているのではないでしょうか。
「鋳掛け屋さん」の絵もあります。「鋳掛け屋(いかけや)」とは、鍋や釜などの金属製の道具を修理する職人さんのことで、確かに、あの頃はまだ「鋳掛屋さん」を街で見かけましたね。

鋳掛け屋と団子屋(右下が鋳掛け屋)
昔は物を大事にしたので、鍋釜に穴が空いたら「鋳掛け屋さん」に修理してもらい使ったもんです。今は、すぐ買い替えてしまう時代になりました。
他にも、「氷屋さん」「石焼きいも屋さん」など懐かしい商売の人の姿が描かれています。

町工場~昼どきの光景~
「町工場<昼どきの光景>」は、工場労働者たちが昼時、近所の大衆食堂に行く風景を描いた作品。たしかに、こんな光景もよく目にしました。

大夕張鉄道(鍋を持って近所の家に料理を分けてやるお母さんが描かれている)
鍋を持って隣近所に料理を分けてやるお母さんの姿も。人と人とのつながりが今よりかなり濃密だったので、よく料理をお互いにあげたりもらったりしましたね。醤油とかソースを切らすと、隣近所に「ちょっと、お醤油貸して」なんて駆け込んだり。

氷屋さん
野島さんが描く家並みは、どれも板張りの家が多く、懐かしい昭和の看板もかなりリアルに再現されています。
個展初日の5月28日(水)は、見学に訪れる人が次々とやって来ました。以外にも若い人が結構来ていました。また、はるばる大阪からやって来たというファンの方もいました。

札幌市営バス(懐かしいボンネットバス)
野島さんの絵はどれも、まちに人が溢れています。そして、どの絵も人々の暮らしの営みと温かさが伝わってきます。
今は、スマホやインターネットがあり、生活は格段に便利になりましたが、野島さんの絵の世界を見ていると、私たちは便利さと引き換えに何か大事なものを失ってしまったのではないか、そんな思いになります。
■野島理の世界 昭和30年代情景画展
〇日時 5月28日(水)~6月8日(日)12時~19時(最終日12時~18時:月、火定休)
〇会場 ギャラリー犬養(札幌市豊平区豊平3条1丁目1-12、TEL 011-813-0515、駐車場有、地下鉄東西線菊水駅2番出口より徒歩7分)
〇内容 古き良き昭和の街並みと人々~記憶の中にある懐かしの情景を描く。
〇作品は販売もしています。
〇野島理さん連絡先 Eメール: efude@jcom.home.ne.jp

棟続き(食堂と商店とたばこ屋さん)
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