清田区に大きな被害をもたらした2018年9月6日未明の北海道胆振東部地震から2年。最大の被害が発生した里塚地区では、今も道路や公園の災害復旧工事が行われていますが、更地になった宅地で住宅の新築工事も始まり、確実に復旧に向けた動きは進んでいます。
里塚地区では、里塚1条を中心に約4ヘクタールの区域で最大3メートルの地盤沈下が発生し、宅地が崩壊。多数の家が傾き損壊しました。
液状化と地下土砂の流動化で、約1万立方メートルもの大量の土砂が傾斜に沿って流出したと札幌市は推定しました。
札幌市は、数度にわたる住民説明会や地質調査を経て2019年度に、被害のあった4ヘクタールの区域の宅地に地盤強化の薬剤を注入する工事や道路の地盤強化工事を実施。これは今年3月までに終了しました。
宅地の薬剤注入では、個別の宅地ごとに1軒1軒、簡易的な地盤調査を実施。それぞれの住宅の持ち主の不安にこたえながら、個別に薬剤注入量などを調整して工事を行ったそうです。
2020年度は、①地下水が集まるのを防ぐ暗渠管の埋設工事②暗渠間の埋設が終わった道路の本格復旧工事③清田中央ぽぷら公園(里塚1条1丁目)の地盤強化工事の3つの工事を行っています。
里塚の被害地区は、かつて三里川があった谷筋です。地下水が集まりやすい地形であるために、暗渠間を埋設して排水し、地下水の上昇を防ぐ必要があるということです。
暗渠間の埋設は9月中に終了し、道路の本格復旧工事も降雪前に終える予定だそうです。
里塚中央ぽぷら公園は、来年3月までに地盤工事を終え、2021年度に公園復活工事を行う段取りです。
市は、復旧工事区域にある個人住宅のうち全壊、半壊、一部損壊など被害があった106棟について意向調査を実施。それによると、「解体して新築」が23棟、「補修」が68棟、「土地を売却して里塚を離れる」が15棟だったそうです。被災者の多くが、里塚にとどまる意向を示しているのが分かります。
これは、地域住民の里塚への愛着が強いこともありますが、札幌市がスピード感をもって地盤強化などの復旧工事に取り組んだことが大きかったと思います。
市は、里塚中央ぽぷら公園に現地事務所を設置、若手の職員を配置して地域住民に寄り添い、密接なコミュニケーションを取っことも大きかったと思われます。
里塚地区の復旧工事は、おそらく全国的に極めて珍しい、前例のない工事だったと思われます。様々な知見が得られ、今後の災害復旧に活かされるのではないでしょうか。
里塚の復旧工事は、来年夏ごろ、里塚中央ぽぷら公園が緑あふれる公園として復活したときに完了します。
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