札幌市議会は3月12日(金)、予算特別委員会を開き、「地域交流拠点清田」について集中審議しました。清田区選出の恩村健太郎議員(民主市民連合)、竹内孝代議員(公明党)、吉岡弘子議員(共産党)、北村光一郎議員(自民党)の4氏(質問順)が質問に立ち、市側と議論を交わしました。
4氏と市側のやり取りのすべてを、質問順に順次紹介します。初めは、恩村健太郎議員です。
(注)以下のやり取りの中で、たびたび出てくる「民間事業者」「平岡3条5丁目地区」とは、イオン札幌平岡店のことです。
■恩村健太郎議員
地域交流拠点清田にかかる今後の取り組みについて、いくつか質問します。
私は、2020年第3回定例会決算特別委員会において、当時取りまとめ中であった「地域交流拠点清田の機能向上に向けた官民連携によるまちづくりの基本的考え方」、通称「基本的な考え方」について質問しました。このときは、清田区内の地域交流拠点は、あくまで区役所周辺エリアの清田であることや、平岡地区の民間事業者の機能強化との連携でどのように清田におけるにぎわいや交流の創出を図っていくのかなどを確認いたしました。
本年2月には「基本的な考え方」が策定され、その中で民間事業者の施設がある平岡3条5丁目地区の取り組みの方向性として、にぎわいや交流の創出に向けた施設の機能強化や広場やホールの整備、樹林地を活用した人と自然が触れ合える空間整備などが掲げられました。
昨年実施されたパブリックコメントでは、これらの平岡3条5丁目地区における方向性に対して賛否両論さまざまな意見が寄せられました。
私は、地域交流拠点清田の機能向上を考える上では、パブリックコメントでも多く求められました地下鉄東豊線の延伸はもちろんですけども、それと並行して近隣地区においてできることとしていろいろ取り組み、少しずつでもまちづくり前進させていくことが重要だと考えています。
今回、平岡3条5丁目地区の民間事業者が、既存施設の機能強化を行う方向性とのことですが、より区民に求められるものとするためにも、区民の要望や意見をしっかりと取り入れる必要があるのではないでしょうか。
そこで質問ですが、民間事業者が行う平岡3条5丁目地区における既存施設の機能強化において、区民の意見はどのように反映されるのか、また札幌市としてどのようにかかわっていくのか、うかがいます。
■村瀬利英札幌市まちづくり政策局プロジェクト担当部長
地域交流拠点清田にかかる取り組みについて、平岡3条5丁目地区の既存施設の機能強化における区民意見の反映方法および札幌市のかかわりについてお答えいたします。
まず区民意見の反映方法についてですが、民間事業者としては今後、例えばホールとか広場の利用方法、樹林地の保全や活用方法など利用する人が使いやすい施設となるよう区民の方々と意見交換を行い、その結果を踏まえて具体的な整備計画、内容を決めていく意向です。
札幌市の関りとしては、区民の意見が十分反映されるよう具体的な整備内容について民間業者と引き続きしっかりと協議を行っていく考えです。
なお、この協議が整った後に民間事業者の方から具体的な整備計画にかかる企画提案書が札幌市に対して提出され、それを踏まえ、必要に応じて都市計画の変更について検討する予定です。
■恩村議員
今回の「基本的な考え方」では、地域交流拠点清田と平岡3条5丁目地区をつなぐ移動手段の充実とか、様々な主体と協働して市民交流広場の継続的活用によるにぎわい・交流の創出にも取り組むといった方向性も示されています。私は昨今の社会情勢の変化とか、厳しい財政状況の中では、こういった官民連携でまちづくりに取り組むことは必要と認識はしています。一方で、パブリックコメントでは、地域の方から、民間事業者の場合、事業採算性の観点から取り組みの継続性を危惧する声も多数寄せられました。
そこで質問ですが、民間事業者によるこれらの取り組みをどのように継続させていくのか、市の考えをうかがいます。
■村瀬プロジェクト担当部長
民間事業者による取り組みの継続性についてです。
ご指摘の通り民間事業者との連携にあたっては、民間事業者が実施する取り組みの継続性を確保することが必要になるところです。そこで札幌市としては、民間事業者から整備計画の企画提案書が提出された後に、その内容を踏まえて、例えばホールや広場の運営方法、地域交流拠点清田と平岡3条5丁目地区との間における移動手段の充実といったような取り組みについて、連携協定を締結して、その継続性を確保する考えです。
■恩村議員
今の答弁で、札幌市が積極的に関与していく姿勢は確認できたと思います。
しかし、民間事業者の取り組みだけでなく、先に再開発が進み始めている他の地区のように、札幌市都市計画マスタープランで「先行的に取り組む拠点」として位置づけられている清田においても、拠点機能向上に向けた再開発などを進めていくべきではないかと、私は考えます。
そこで、今後の地域交流拠点清田における直接的な取組について質問します。2021年度予算に「地域交流拠点清田の機能向上」検討費が計上されましたが、これは具体的にどのようなことを行っていくのか、うかがいます。
■村瀬プロジェクト担当部長
地域交流拠点清田の拠点機能向上検討費についてお答えします。
地域交流拠点清田における恒常的なにぎわい・交流創出に向けて、札幌市ができる取り組みとして、まずは市の所有地である区役所エリアにおいて市民交流広場の機能拡充について検討を行います。市民交流広場は清田区総合庁舎前に広がる空間で、区民まつりをはじめとした区の様々なイベントに活用されているものの、常日頃からにぎわいのある状況までには至っておりません。
こうしたことから具体的な検討内容としては新年度、区民とのワークショップなどを行い、実際に活用するイメージを区民と共有しながら、恒常的に人が集い交流するような手法について検討を行いたいと考えています。
■恩村議員
市民交流広場の機能拡充など、区民の意見をしっかりと取り入れて恒常的なにぎわいにつなげていただきたいと思います。
最後に2点要望させていただきます。
1点目は、平岡地区の民間事業者と近隣の平岡公園との連動についてです。平岡地区でも民間事業者の施設機能強化の際に、樹林地を活用した人と自然が触れ合える空間整備が検討されているとのことですが、この平岡3条5丁目地区のすぐ近くに梅の名所として知られる自然豊かな平岡公園があります。せっかくなので民間事業者とも協議して、この平岡公園にもにぎわいを波及させられるような施策を考えていただきたいと思います。
2点目は、公共交通機能の向上についてです。これはもう長年、言われ続けていますが、清田区は全10区の中で唯一地下鉄やJRなどの軌道系公共交通機関がありません。
そもそも地域交流拠点は、超高齢化社会に対応するため、地下鉄駅周辺地域に居住機能と、生活を支える多様な都市機能を集約させることで、効率的な都市サービスを享受できるコンパクトな都市を目指すこととしています。地域交流拠点は札幌市のまちの成り立ちを踏まえて現在、17カ所が位置付けられているところであります。
清田区には地下鉄がありませんので、今後到来する超高齢化社会において、取り残されていく地域になってしまうのではないかと危惧しているところであります。
バスの利便性に関しても、私ども清田区選出の議員のところにたくさんの要望が来ております。私のところにも来ております。バスネットワークも現状では、多くの区民が不便を感じているところです。
地域交流拠点の機能向上のためにも、区民が今までも強く要望してきた地下鉄の延伸、バスネットワークの充実など公共交通機能を向上させていただきたい。このことを一区民であり、また清田区で長年生活してきた立場からも強く求めて、私からの質問を終わらせていただきます。
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