札幌市議会は3月12日(金)、予算特別委員会を開き、「地域交流拠点清田」について集中審議しました。清田区選出の恩村健太郎議員(民主市民連合)、竹内孝代議員(公明党)、吉岡弘子議員(共産党)、北村光一郎議員(自民党)の4氏(質問順)が質問に立ち、市側と議論を交わしました。

 4氏と市側のやり取りのすべてを、質問順に順次紹介します。今回は、吉岡弘子議員です。

(注)以下のやり取りの中で、「平岡3条5丁目地区」とはイオン札幌平岡店のことです。

■吉岡弘子議員

 清田区のまちづくりについて質問いたします。

 2016年の第2次札幌市都市計画マスタープランで、市内17カ所の地域交流拠点のうち、先行的に取り組む4カ所に新札幌、真駒内、篠路とともに清田が位置付けられました。

 地域交流拠点清田の中心には区役所、消防署、図書館が入っている清田区総合庁舎があり、周辺には商業施設や病院などの機能が集積していますが、地下鉄など軌道系公共交通機関がないことなどから、豊平区から分区して23年、いまだに中心核づくりが進まないでいます。

 区役所前広場では、地元農家や区内の企業、飲食店、団体による販売や子供向け企画、清田区にゆかりのあるアーチストによるパフォーマンスなど、一日限りの祭典として「きよたマルシェ&きよフェス」などを開催してまいりました。

 恒常的なにぎわいを創りたいという住民の思いから、昨年8月、市は「地域交流拠点清田の拠点機能向上に向けた官民連携によるまちづくりの基本的な考え方」を町連会長さんなど20人で構成されている「きよたまちづくり区民会議」に示し、パブリックコメントを経て、このたび策定しました。

 区民会議に提示してからわずか半年の速さです。

 「地域交流拠点清田の基本的な考え方」へのパブリックコメントでは、54人から198件の意見が寄せられました。もっとも多いのが、第5章の第1項「『清田』の取組の方向性」に関する意見で、全体の198件のうち74件(37.4%)ありました。この74件中、地下鉄に関する意見が23件、バスに関する意見も23件、区民センターに関する意見が16件でした。

 そこで質問ですが、パブリックコメントの結果についてどのようにお考えか、うかがいます。

■村瀬利英札幌市まちづくり政策局プロジェクト担当部長

 パブリックコメントの結果に対する札幌市の考え方についてお答えします。

 地域交流拠点清田のまちづくりに対する区民の期待の高さを、高く認識したところであります。

 この「地域交流拠点清田の拠点機能向上に向けた官民連携によるまちづくりの基本的な考え方」は、地域交流拠点清田の取組の方向性と、それを補完するものとして位置づけた平岡3条5丁目地区の取組の方向性などについてまとめています。

 今後、この方向性に基づいて地域住民、各種団体などの多様な主体や、清田の民間事業者とも連携しながら、地域交流拠点清田の拠点機能向上という目的実現に向けて庁内関係部局と連携し、しっかり取り組んでいきたいと考えています。

■吉岡議員

 今回のパブリックコメントは記述式ですから、応募することはかなりハードルが高かったと思われます。おそらく関心を持っている方は、この数十倍、数百倍はいるのではないかと思われます。

 54人から意見が寄せられたということは、パブリックコメントとしては多い方かもしれませんが、まだまだ不十分だと思います。

 地域交流拠点清田に関する意見74件中、地下鉄とバスを合わせると46件(62%)です。つまり、地域交流拠点清田に対して区民が最も関心を持っているのは、公共交通の利便性だということが分かります。

 2020年度の札幌市民意識調査の市政に求める政策でも、全市の1位は除雪問題でしたが、清田区だけは公共交通でした。このことをしっかり受け止めたまちづくりを区民は心から望んでいます。

 公共交通に次いで関心の高いのが、区民センターの場所の問題です。清田区民センターは区役所に隣接していない市内唯一の区民センターで、区役所から7、800メートル離れています。しかも、区民センター前の道路は狭いため路線バスが通れません。高齢などで歩行が困難になった方は、車やタクシーでなければ、区民センターを利用できない実態となっています。

 昨年11月に地下鉄期成会が地下鉄延伸を要請した際、秋元市長は、区民センターの移転について「区民センターの跡をどういう施設が、どう使うかなどの検討を進めます。計画を作っていくには、若干の時間をいただくことになろうかと思います」とおっしゃっています。

 区民センターの移転は急がれると考えます。一日も早く方向性が示されるよう私からも強く求めます。同時に、その際、できるだけ多くの清田区民の声を集め、意見を反映させていくことが大事だと考えます。

 新しいにぎわいや交流の場をつくることで、清田地区のにぎわいや交流を生むことができるのか、それは願望に過ぎないのではないかとパブリックコメントでも指摘されています。このたびの「基本的な考え方」のように、昨年8月に提案して10月から12月にパブリックコメント、そして今年2月に決めたというのは、あまりに拙速です。

 清田と同じく第2次札幌市都市計画マスタープランの地域交流拠点になっている真駒内駅前地区のまちづくり計画では、無作為に選ばれた6000人に住民アンケートを実施し、2625人から意見が寄せられました。

 そこで質問ですが、地域交流拠点清田の策定にあたっても、真駒内地区で実施したような大規模なアンケートをすべきと思いますが、いかがか、うかがいます。

■村瀬プロジェクト担当部長

 地域交流拠点清田の取り組みに係る大規模な区民アンケートの実施についてでございます。

 地域交流拠点清田における取り組みを進めるにあたっては、今後とも様々な形で区民の意見を取り入れていく必要があると認識しております。ご指摘の大規模な区民アンケートについても、必要に応じて検討していく考えであります。

■吉岡議員

 区民から寄せられた声を企画に取り入れること、そして双方向の意見交換は大事だと思います。今後、区民の声にどう対応されるのか、うかがいます。

■村瀬プロジェクト担当部長

 今後、区民の声にどう対応するのか、ということでございます。 

 若干、繰り返しになりますが、様々な形で区民の声を聞き、さらに地域の各種団体とか、まちづくりを行っている団体、あるいは民間事業者、様々な主体と連携して、さらには札幌市内部の庁内関係部局とも連携して、この都市計画マスタープランで先行拠点の一つとして位置づけられた清田の拠点機能向上に向けて、しっかりと取り組んでいく考えです。

■吉岡議員

 真駒内駅前地区では、2017年度の住民説明会で、市の担当課長から計画策定の説明があり、2018年度に先ほどのアンケートを実施し、2019年度にパブリックコメントを行い、計画が策定されています。

 市民が主役のまちづくりを進める札幌市にふさわしく、時間をかけて広く区民の声を聞き、また、双方向での意見交換をして区民の声を柔軟に取り入れるよう求めて、質問を終わります。

[広告]