春の真駒内公園(札幌市南区)を5月4日(火祝)訪ね、カタクリの花と桜が咲く園内を歩いてきました。

真駒内公園=2021年5月4日

 真駒内公園は面積が84.7ヘクタールもある広い道立都市公園です。園内には13200本(針葉樹3800本、広葉樹7300本、潅木2100本)の樹木と5万本の自然木があると言われています。

 駐車場は3カ所あり、平日は無料ですが、土日祝日は有料で料金は320円です。屋外競技場前の駐車場に車を停め、園内の散策を始めました。

 園内はウオーキングやジョギングが楽しめる外周道路があり、桜並木になっているところがあります。園内にはエゾヤマザクラと八重桜およそ700本あるとされています。

 今年は開花が例年より早かったのですが、開花してから寒い日があったので、まだ桜は見頃になっていました。

 コロナ疲れを癒しに来ているのでしょうか、散策を楽しむ人の姿が結構ありました。ただし、密になるほどではなく、思い思いに春の公園を楽しんでいる様子でした。

カタクリ(ピンク色)とエゾエンゴサク(水色)の群生

カタクリ

 公園の南端に「カタクリの里」というカタクリの花の群生地があります。入口に看板があるので、すぐわかると思います。

エゾエンゴサク

 カタクリの里は、ちょっとした小山になっていて、観察路が整備されています。観察路は結構な急坂で、登って行く道端にピンク色のカタクリが可憐に咲いています。カタクリの花は小山の斜面一面に広がり、都市公園で自生するものとしては最大級だそうです。

エンレイソウ

 観察路を登って行くと、山頂には「札幌市水道局柏丘高台配水池」という建物がありました。観察路入り口との標高差は50メートルくらいありそうです。樹木にまだ葉がなかったので、結構、札幌のまちが見渡せました。

アズマイチゲ

 観察路を再び降りていきます。カタクリの花のそばで、水色のエゾエンゴサクも咲いていました。カタクリに負けじと、エゾエンゴサクの花もカタクリに交じって群生しています。

 ほかにも、白いエンレイソウの花が可憐に咲いていました。カタクリの里の入り口付近には、アズマイチゲの白い花が咲いています。高低差のある観察路はちょっと大変でしたが、春の野花を見ながらの散策は楽しい時間です。

芝生の広場

 再び園内を散策します。ここは昔、ゴルフ場だったそうで、広々とした芝生の広場は、かつてここがゴルフコースだったことを感じさせる雰囲気があります。

 周辺は閑静な真駒内の住宅地です。その中に、樹林が多くあり、自然豊かな都市公園があるのは素晴らしいですね。

公園内を流れる真駒内川

 プロ野球の日本ハム球団が札幌ドームを出て一時、ここが移転候補地になったことがありましたが、地元真駒内の住民の皆さんの熱心な反対運動があって実現に至らず、市民の憩いの場である真駒内公園が守られたのは良かったなと思います。

 真駒内公園のある場所は、もともと1876年(明治9年)に北海道開拓使が開いた放牧場でした。有名なエドウィン・ダンが酪農とアメリカ式農法を指導した場所です。以後、70年にわたって真駒内種畜場として北海道の畜産と農業に寄与したといいます。

散策中にアカゲラに遭遇

 太平洋戦争の終戦後、1946年(昭和21年)に、真駒内一帯は進駐軍に接収され、進駐軍の「キャンプ・クロフォード」に変わりました。今の真駒内公園がある付近は進駐軍のゴルフ場になったそうです。

 キャンプ地が全面返還されたのは、1958年(昭和33年)でした。進駐軍が撤退した後は、ゴルフ場は道が運営する真駒内ゴルフ場になりました。

 その後、ここは1967年(昭和42年)、明治百年記念森林公園事業として公園造成が始められ、園内に1972年(昭和47年)の札幌冬季オリンピック競技施設(屋外競技場、屋内競技場)が併行して整備されました。真駒内公園は1974年(昭和49年)に完成し、翌1975年(昭和50年)に一般開放されました。

 ちなみに屋外競技場は札幌オリンピックの開会式とスピードスケートの会場、屋内競技場はフィギュアスケートとアイスホッケー、閉会式の会場となった所です。

 真駒内公園を歩いていると、こうした札幌の歴史をふと感じたりします。

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