北海道は5月5日(水)、札幌市を対象地域にした「まん延防止等重点措置」の適用を国に申請しました。5月5日に札幌で強行開催された五輪マラソンテスト大会の終了を待っての申請という茶番劇でした。

 札幌市では5月2日(日)に新規感染者数が過去最多の246人となり、秋元札幌市長は「緊急事態宣言レベル」と危機を表明しました。市民からは「こんな状況で五輪マラソンテスト大会は疑問だ」と一気に反発と疑問の声が上がりました。

 北海道と札幌市は五輪マラソンテスト大会が終わるのを待つかのように、5日午後、「まん延防止等重点措置」の適用を国に申請しました。

 そして、翌日のきょう5月6日(木)、札幌市内の新規感染者数は過去最多をさらに更新して251人になりました。

 6日の道内民放テレビでは、専門家が「今後、もっと増えるのではないか。感染力の強い変異ウイルスが影響している。医療は崩壊に近くなる。学校も休校せざるを得なくなる。今までの対策では止められない」と、札幌が深刻な状況であることを解説していました。

 市民の不安は高まるばかりです。市民の命より五輪テスト大会を優先したと言われてもしょうがない五輪組織委と北海道、札幌市の対応。不安です。

 札幌市と北海道は5月5日、「札幌市医療非常事態宣言」を、これも五輪マラソンテスト大会の終了を待って発出しました。

 札幌市医療非常事態宣言は次のように危機的状況を訴えています。

「入院が必要な方であっても市内の医療機関では受入先がなく、市外の医療機関への搬送をお願いするなどの対応を行わざるを得ない状況です。このままでは、入院ができず自宅等で待機する患者の方々が数多く発生し、入院を待つ間に亡くなる最悪の事態も発生するのではないかと危惧しています。札幌市内では、市民の皆様の命が危険にさらされており、医療の非常事態と言っていい状況です。札幌市の医療体制は、もう限界です」

 こんな状況で、よくもまあ五輪マラソンテスト大会をやったものだと驚きを禁じえません。マラソンテスト大会へ向けるエネルギーを、市民の命を守る方へ向けてほしかったと思います。

 実は、北海道と札幌市は、まん延防止措置を要請する基準を設けていました。それは、直近1週間の人口10万人当たりの新規感染者数が、札幌市「25人」、北海道「15人」です。

 そして、4月23日の段階で、直近1週間の人口10万人当たりの新規感染者数が札幌市「33.7人」、北海道「15.6」人と基準を上回っていました。

 その後も感染者が増え続け、10万人当たりの新規感染者数が上昇の一途だったのに、道も札幌市も自ら作った基準を守らず、「まん延防止措置」の申請を、五輪マラソンテスト大会終了までズルズルと2週間も引き延ばしました。一体、何のための基準だったのでしょうか。

 10万人当たりの感染者数は5月6日、札幌市は「60.6人」、北海道は「29.1人」まで上昇してしまいました。まん延防止の基準をはるかに超えているどころか、北海道の緊急事態宣言要請の基準「25人」をも上回ってしまっているのです

 本来はまん延防止措置ではなく、緊急事態宣言を要請するレベルなのです。

 まん延防止重点措置ましてや緊急事態宣言の下では五輪マラソンテスト大会はやりづらい。そう考えての「まん延防止重点措置」の申請引き延ばしだったのでしょう。あまりに見え見えで、市民、道民はバカにされている感じです。市民の命より五輪マラソンテストを優先―それに私たちは怒っているのです。

 リーダーがこんなことやっていると、自粛だなんだと言っても誰も言うことを聞かなくなります。怖いことです。

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