北海道新聞が5月8日朝刊で、北海道に緊急事態宣言が発令されなかったのは、鈴木直道北海道知事が政府の打診に「首を縦に振らなかった」からだと報道しました。これに対して鈴木知事は自身のツイッターで「誤報だ」と反論しました。事実はどうなのでしょうか。

北海道新聞の記事=2021年5月8日

   5月9日(日)の北海道のコロナ新規感染者は506人、うち札幌市の新規感染者は327人と発表されました。過去最多で、感染が急拡大しています。

 札幌の327人という数字は、東京に換算すると、2300人ほどになります。北海道の506人は東京都でいえば3500人というとんでもない数になります。もう感染爆発と言っていいレベルです。札幌の医療も崩壊寸前と専門家は指摘します。「効果が不明なまん延防止措置より、緊急事態宣言を発令すべきだ」といった声は高まる一方です。

鈴木北海道知事

 なぜ、北海道に緊急事態宣言は発令されなかったのか。この深層に迫ったのが北海道新聞5月8日の「道内『緊急事態』立ち消え 知事難色」という記事です。

 記事には、こうあります。

「『緊急事態宣言が必要だ』。西村康稔経済再生担当相が6日、電話でこう訴えると、知事は「宣言だと全道になる。それはできない」と突き返した。両者の議論は平行線をたどり、協議を打ち切った。」

 さらに、記事はこうも書いています。

「6日、4都府県の宣言延長の流れが固まる一方、西村氏は福岡、愛知両県知事とともに鈴木知事にも宣言発令を打診。道知事のみが首を縦に振らなかった。」

 この記事が事実なら、政府は緊急事態宣言を北海道に発令しようとしたが、鈴木北海道知事が拒否したので、発令されなかったということになります。

 これが本当なら、大変な問題です。

鈴木知事のツイッターでの反論

 鈴木知事は8日夜、自身のツイッターで北海道新聞の記事について「誤報だ」と反論しました。鈴木知事の反論です。

「西村大臣から緊急事態宣言の打診を受けた事実はなく、当然私からも拒否した事実はありません。こうした誤った報道は大変遺憾です。大臣とは札幌市の厳しい感染状況や道内全域に拡大する恐れがあることから、札幌市において強い措置をとることで認識が一致しました。」

 果たして事実はどうなのでしょうか。北海道新聞の記事をよく読むと、西村大臣のコメントがよく出てきます。鈴木知事のコメントはありません。記事の骨格は西村大臣への取材に基づいて構成されているように見受けられます。

 いずれにしろ、この問題は北海道新聞、鈴木知事ともに事実をはっきりとさせてほしいと思います。

 そして、なによりも北海道に早く緊急事態宣言を発令し、札幌市と北海道に今よりはるかに強い対策を打ち出して感染を食い止めてほしいものだと思います。多くの道民、市民がそれを願っているのではないでしょうか。

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