北海道の初夏を代表する花といえばスズラン。日本一の広さ(15ヘクタール)の平取町「芽生(めむ)すずらん群生地」に行ってきました(2022年5月30日)。鑑賞用の園路を1時間ほどかけて、白く可憐に咲く野生のスズランを見て歩きました。
札幌から車で2時間余り。平取町の役場がある市街地からも車で40分の奥深い場所に「芽生すずらん群生地」はあります。
ここのスズランは、一般に流通している園芸観賞用のドイツスズランではなく、貴重な野生の日本スズランです。乱獲などから保護するために、花が咲く時期だけ「すずらん鑑賞会」と称して一般公開されます。
今年は5月21日(土)~6月5日(日)まで一般公開されます。期間以外は、群生地のゲートは閉じられてしまいます。
すずらん鑑賞会は、コロナ禍で2年間、中止だったそうで、今年が3年ぶりの開催ということでした。
群生地には駐車場があり、入り口には売店もあり、平取町の特産などが販売されていました。
群生地に入ると、白い可愛い小さなスズランの花が鈴なりにいっぱい咲いているのが目に入ってきます。野生のスズランを、これほどの規模で見るのは初めてなので、その光景は感動ものです。
野生のスズランは、小さく控えめな花が葉より下に隠れるように咲くことが多く、群生地といっても、一面に花が見えるという光景にはなりませんが、園路脇までいっぱい咲いてくれているすずらんは、とてもかわいらしく感じられます。
この群生地は、戦前、軍馬などが放し飼いされていた放牧場だったそうです。その後、昭和35年(1960年)頃までは自然な状態で自生する群生地だったようですが、多くの人が足を踏み入れ、スズランの乱獲も横行し、昭和50年(1975年)頃には、絶滅の危機に瀕したそうです。
これではいけないと、地元の人たちがスズランを保護管理し、10年の歳月をかけて自然の状態に回復させて今日に至っているとのことです。
スズランが開花している時期は、夜中にも管理人を置いて、スズランを盗掘から守っているとのことでした。地元の人たちの頑張りが、日本一の群生地を守っているんですね。
スズランは平取町の町花ですが、札幌市も昭和35年(1960年)、スズランを「市の花」に決めました。昔は、札幌でも、野生のスズランは結構見られたのでしょう。今では、野生のスズランを見たことがある人は少ないと思います。
札幌でも手稲区の富丘西公園(手稲区富丘4条5丁目)に野生のスズラン群生地があります。平取町ほどの規模はありませんが、札幌で手近に野生のスズラン群落を見ることができる貴重な場所になっています。
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