北海道大学の校章は、大学構内に自生しているオオバナノエンレイソウを描いたものです。そのオオバナノエンレイソウの花を探しに北海道大学を訪れました(2023年5月3日)。
北大のオオバナノエンレイソウは、北大構内の北部の原生林に咲いているというので、そこに向かいました。外国語教育センター裏に広がる「恵迪(けいてき)の森」と呼ばれている場所です。
「恵迪の森」という名は、昭和58年(1983年)まで、この付近に北大の学生寮「恵迪寮」があったことから、こう呼ばれているようです。恵迪寮はバンカラな寮風で知られた学生寮でした。建物の一部が北海道開拓の村に移築復元されています。
森の一角、道の右側に大きな自然石でできた「寄宿舎跡の碑」があります。碑文を読むと、この地に昭和6年(1931年)から昭和58年(1983年)まで恵迪寮があったことが分かります。
この「寄宿舎跡の碑」の周囲の森に、オオバナノエンレイソウが群生していました。
オオバナノエンレイソウは、白い大きめの花が緩やかな曲線を描き、凛とした趣で咲いています。気品のあるその姿から「森の貴婦人」と言われたりすることもあるそうです。
また、北海道大学恵迪寮の有名な寮歌「都ぞ弥生」の中でも、この花は次のように歌われています。
牧場の若草陽炎(かげろう)燃えて
森には柱の新緑萌(きざ)し
雲ゆく雲雀(ひばり)に延齢草(えんれいそう)の
真白の花影さゆらぎて立つ
まさに、オオバナノエンレイソウの花は、春の風に吹かれて、「真白の花影さゆらぎて立つ」感じでした。
オオバナノエンレイソウは、種から開花まで10~15年かかり、一度花を咲かせると10年以上、毎年花を咲かせ、寿命は20年~50年と言われています。そこから「延齢草」と呼ばれているのだそうです。なにか縁起の良さそうな花ですね。
オオバナノエンレイソウは北海道各地に群生地があり、特に広尾町は日本最大規模の群生地があるそうです。
恵庭市にも街なかに群生地があり、以前、見たときに感動しました。場所はカリンバ遺跡の森の中です。
北大ではこの時期、ほかにも野の花が咲いています。同じ「恵迪の森」には、オオバナノエンレイソウよりも少し小さい白い花ニリンソウがたくさん咲いていました。
また、森の中や道端には、青いエゾエンゴサクがたくさん咲いています。
ところどころにスミレも可憐に咲いていました。
時期は過ぎてしまったようですが、黄色いキバナノアマナもまだ少しだけ咲いていました。
北大構内は木々も豊かで、少し緑がかってきていて、いつ来ても、ここはまるで自然公園のようです。
平成のポプラ並木から北大第一農場を見ると、牛と羊がのんびり草を食んでいました。遠くに札幌駅前のJRタワーや中心部の高層ビル群が見えます。雄大な眺めです。
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