札幌市白石区の住宅街にある北郷緑道(白石区北郷9条7丁目~9丁目)を歩いてきました(2023年6月10日)。ウッドチップが敷き詰められた散策路は、ちょっとした森林浴が楽しめます。
北郷緑道は、札幌新道からまっすぐ東西に一直線に伸びており、途中、月寒川を越えて白石高校グラウンド裏まで続く長さ1.3㎞の散策路です。
アカエゾマツやイチイ、イチョウ、トドマツなどの針葉樹、イタヤカエデ、ナナカマド、ヤマモミジなどの広葉樹など全部で1700余本が植えられているそうです。
緑道内は、散策路が1本通っており、格好の散策場所になっています。
北郷緑道の南側に北郷公園が接していて、ここの駐車場に車を停めることができます。北郷公園も緑豊かな公園で、パークゴルフ場や野球場、テニスコートなどがあり地域の憩いの場になっているようです。
北郷公園の駐車場で車を降りて、公園を突っ切って北郷緑道に出ます。まず、左折して西方向に歩きました。10分ほどで札幌新道に出ます。ここでUターンして、今度は東方向にテクテク歩きました。
北郷公園が隣接している付近から月寒川までの区間が、ウッドチップが敷き詰められ、緑道として最も整備されていて快適な散策が出来ました。
月寒川堤防の手前には、札幌薬師大仏という大きな黒い大仏様が目に飛び込んできます。大仏様は高さ8.4m、台座を含めると高さ13.7mもあります。初めて見たときは、驚きました。この地にある曹洞宗大昌寺の大仏だそうで、平成24年開眼とのこと。割と最近の大仏様のようです。
北郷緑道は、月寒川でいったん途切れます。しかし、川の向こう側にさらに500mほど緑道は続いています。川の向こうの緑道に行くには、300m下流の清栄橋か300m上流の川北橋を迂回していかなければなりません。
今回は、行きは清栄橋、帰りは川北橋を渡りました。
月寒川から先の緑道は、あまり整備が行き届いている感じがありません。雑草も伸びていました。北郷緑道の散策は、月寒川手前でUターンしても良いかもしれません。
帰りの川北橋から月寒川を見たら、カモが2羽のんびりと泳いでいました。1時間ほどで、駐車場のある北郷公園に戻りました。
北郷緑道があるこの地域は、もともとは水はけの悪い泥炭地で農業には適さない土地だったようです。
昭和20年(1945年)、5戸の東京疎開者がこの地に初めて入植し、その後、入植者が多くなり、泥炭低地という悪条件の中、幾多の困難を克服し、開拓したとのことです(「北郷瑞穂町内会創立20周年記念誌」)。
そして昭和23年(1948年)、農作物を保護する防風林として植林が行われました。稲の乾燥に使う「ハサ木」など副収入を兼ねてカラマツ、イタヤなどを植えました。その後、地域は住宅地として発展し、かつての防風林は昭和55年(1980年)、北郷緑道となりました。
北郷緑道は、この地を切り開いた先人の皆さんの開拓者魂を今に残す歴史遺産でもあるようです。
一方、北郷公園も、調べてみると「前史」があるのが分かります。
この土地は、札幌市が昭和30年(1955年)頃から、国から借り上げて塵芥処理場として使っていました。昭和40年代になって宅地化が進むと、ハエ、悪臭などの被害が表面化するようになりました。
さらに、昭和45年(1970年)、市はここにし尿処理施設を建設する計画を立てたため、塵芥処理場の被害に我慢してきた地元町内会もさすがに反対の声を上げ、市は「使用期間は5年間。跡地は大型公園とする」と約束。結局、昭和51年(1976年)、北郷公園になったとのことです。
緑豊かな北郷緑道と北郷公園。先人たちの苦労、地域の力があって、今の美しい緑道と公園があると思いました。
[広告]