白老町の「ヨコスト湿原」に行った後、同じく白老町の「萩の里自然公園」にも足をのばし、野の花が咲き誇る森を散策しました(2024年5月15日)。

シラネアオイの群生=2024年5月15日、白老町・萩の里自然公園

入口からセンターハウスに続く道

 萩の里自然公園は約200ヘクタールの丘陵地からなる自然公園で、園内には遊具などは一切なく、あるのは手入れの行き届いた森林だけです。自然散策には絶好の森林公園といえそうです。

シラオイエンレイソウ

 センターハウス入口駐車場(普通車60台のスペース)に車を停めました。公園内に一歩入ると、道端のそこかしこに野の花が咲き乱れていました。

クロミノエンレイソウ

 公園はかなり広く、様々な情報をゲットできるセンターハウスまで500mほどを歩いて行きました。センターハウスまでは道路が舗装されていますが、並行して土の遊歩道もあり、遊歩道を歩いて土の感触を感じながら歩きました。

 センターハウスで一休みして、さらに公園の奥へ歩いて行きます。シカの食害から植生を守るために散策コースのかなり広いエリアがネットで囲われており、その中はシラネアオイなど野の花が咲きほこり、野の花の楽園のようでした。

オオバナノエンレイソウ

ミヤマエンレイソウ

エゾシカ

 ネットの外側でエゾシカ2頭がうらめしそうにこちらを見ていました。センターハウスの人によると、シカはシラネアオイの花が大好物だそうです。

 この時期一番人気のシラネアオイが群生している所もありました。シラネアオイ目当てでこの公園に来たという人にも会いました。

サクラスミレ

 エンレイソウ類もかなり咲いていました。オオバナノエンレイソウやミヤマエンレイソウのほかにシラオイエンレイソウという花も咲いていました。

 シラオイエンレイソウは白老町で見つかった珍しいエンレイソウだそうで、見たのは初めてです。白い花びらが波打っているところがオオバナノエンレイソウとは違っているように思いました。

ツボスミレ

タチツボスミレ

センターハウス

 花が赤黒いクロミノエンレイソウという花も道端で咲いていました。この花も初めて見ました。花のそばに説明板があったので、名前がすぐ分かりました。

チゴユリ

 森の中でスミレ類もたくさん見かけました。美しいサクラスミレが咲いていました。「スミレの女王」といわれるだけあって気品が感じられます。

 ほかにツボスミレ、タチツボスミレも咲いていました。

エゾタンポポ

 珍しいエゾタンポポも遊歩道脇で可憐に咲いていました。街で見かけるタンポポは今やほぼすべてが外来種のセイヨウタンポポと言われています。萩の里自然公園には、日本の在来種の一つであるエゾタンポポが咲いていたのです。

森の中の遊歩道

 ほかにもたくさんの野の花が咲いていました。園芸種の花とは違って、厳しい自然の中で咲く野の花は、どれも可憐で控えめに咲いています。生命の輝きと逞しさを感じます。

炭窯の跡

 萩の里自然公園の山は、明治中頃から炭焼きが盛んに行われていたそうです。この山は町から近く、炭焼きに都合がよく、今でも公園内には20か所ほどの炭窯跡が残っているそうです。

 また、炭焼きのほかにもたき木取りや牛馬の放牧、山菜・キノコ採りなどにも活用されていたそうです。まさに地域の里山でした。

ミツバツチグリ

 公園の樹林は、かつて炭焼きのために切った木の切り株から芽を出して育った雑木林だといいます。

 それが今、素晴らしい自然公園になりました。地域の人たちのボランティアで、公園はかなり手入れが行き届いている感じがしました。

ミミナグサ

 公園内は広く、今回はその一部を散策したにすぎませんが、気軽に自然散策を堪能できました。もっと利用者が多いといいのにと感じました。もったいないです。

 札幌からの日帰りハイキングに絶好の公園です。園内には、お店も自動販売機もありません。森の中を散策すると喉が渇くので、飲み物は持参した方がよさそうです。

セントウソウ

マイヅルソウ

マムシグサ

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