札幌市は1月24日(金)、清田区民センター移転・整備基本計画案に係る説明会を清田区民センターで開催しました。区民ホールと貸室を別の建物に整備するという計画案に「使い勝手が悪すぎる」と住民側から疑問、反対意見が続出しました。
そこで、「ひろまある清田」から、「ホールと貸室の分離を避ける」提案を行いました。

清田区民センター移転整備計画説明会=2025年1月24日
説明会には札幌市から担当の市区政課と中央図書館調整担当職員が出席しました。
市の説明によると、新清田区民センターは清田区役所前の市民交流広場に建設し、2階建てとします。そこには区民ホールと、現在、区役所庁舎4階にある清田図書館を移設します。そして、エントランスはフリースペースにして誰でも利用でき、勉強などもできる空間にするとしています。

札幌市の計画を説明する市の担当者
また、新しい清田図書館は、おしゃべりが出来たり、賑やかOKの、人々が集う新しいタイプの図書館を目指し、市としても「清田で新しい図書館を造ってみたい」と説明しました。
貸室(集会室、視聴覚室、調理実習室、和室、陶芸室)と区民センター事務室は、図書館が抜けた跡の区役所庁舎4階に整備するとしています。
この区民ホールと貸室を別の建物に離れ離れに整備するという市の計画に疑問と反対、ブーイングの声が相次ぎました。
現在、指定管理者として清田区民センターを管理運営している「区民センター運営委員会」の伊藤昭夫委員長(前北野地区町内会連合会会長)も「区民センターを使っていただいている皆さんは、ホールと貸室が一体になっている便利さがあるから使ってくれています。ホールのそばにやはり貸室は3部屋は欲しいと思います。大型の楽器を扱う団体などは、ホールと貸室が離れてしまったら、困ると思いますよ」と指摘しました。
里塚・美しが丘地区センターの職員から「区民センターや地区センターのような施設は、貸室が肝です。日常的に地域の人が使い、集まるのは貸室なんです。それを分離してしまうのは、おかしいですね」と聞いたことがあります。
区民センターの貸室も、サークル活動だけでなく、町内会や区内の団体、企業、政党、宗教団体、地域のグループなど様々な人たちが会議や研修会、説明会などに使っています。
貸室を区役所庁舎4階にまるで追い払うように配置するのは、いかがなものでしょうか。もっと区民センターの中核的役割として位置付けるべきではないでしょうか。
本来は、区民ホールも貸室も同じ建物に入るのが一番いいのでしょう。例えば2階建ての計画を3階建てにして、ホールと貸室、新しいタイプの図書館、フリースペースをすべて含めた構造にすれば問題は解決できるのでしょうが、そうすると予算がかなりオーバーして市としては難しいそうです。
■貸室を区役所庁舎2階に整備し、空中回廊で区民ホールと結ぶ
そこで、説明会会場で「ひろまある清田」から一つ、提案しました。各方面を取材して得た提案です。
それは、貸室と区民センター事務室を区役所庁舎4階に配置するのではなく、区役所庁舎2階の区長室や地域振興課などがあるフロアに配置したらどうかという提案です。

区役所2階の区長室や地域振興課などのフロアと「新建物」(区民ホールと清田図書館=2階建て)はくっつくほど近接している。ここを2階の空中回廊(専用通路)でつなげば、区民センター(区民ホール+貸室)の一体感は保てる
この区役所庁舎2階の当該フロアと新清田区民センターの建物は、上の配置図を見ても分かるように互いに接するほどの近さであり、2階同士を水平に少しだけ空中回廊(専用廊下)でつなげば、区民ホールとの行き来も楽で一体感も出てくると思われます。
区民センター事務室も区役所庁舎の空中回廊に近い所に配置すれば、区民ホールやフリースペースの管理もしやすくなるでしょう。
また、貸室を区役所庁舎2階に配置し、空中回廊(専用通路)で新建物につなぐことにより、貸室利用者が空中回廊を使って区民センターと行き来しやすくなり、新区民センターのフリースペースも利用しやすくなるでしょう。これにより、より人々が集う新区民センターになるのではないでしょうか。
実は、この「貸室を区役所庁舎2階に」というアイデアは、区役所内部からも出ているのです。「区民センターの貸室を2階に配置し、区長室や地域振興課などを4階に移しても区としてはなんら支障はありません」(区役所職員)というのだ。
市が提案する新しいタイプの「区民ホール・図書館」というコンセプトは大いに期待できる可能性があり、このコンセプトを活かしつつ、区民センター貸室等の利用者の利便性を考えたら、上記の案(貸室を区役所庁舎2階に配置し空中回廊でホールと結ぶ)がもっともふさわしいと思います。せっかく素晴らしい区民センターを造るのですから、多くの人が納得できる形にしてほしいものです。
市の説明会で、「ひろまある清田」は以上のような提案を行いました。
市の担当者も「初めて聞きました」と大変、関心を持って聞いてくださいました。そして「検討いたします」との回答でした。
この提案には、この日出席した人の多くからも賛同の声が上がりました。

現在の清田区民センター
現在の清田区民センターは清田公園の隣にあります。まだ耐用年数はかなり残っていますが、それでも区役所前に移転新築するのは、地域交流拠点清田(区役所やイオン札幌清田店などがあるエリア)の形成を少しでも進めるためです。
市は市内17か所の地域交流拠点を指定し、交流拠点を核に各生活圏のまちづくりを進めています。しかし、清田だけ地下鉄駅(またはJR駅)がないために、人が集まらず地域交流拠点の形成が進みません。そこで少しでも人が集まりやすくするために、清田区民センターを区役所前に移転することにしたのが、今回の清田区民センター移転整備計画です。
市によると、今年3月には基本計画を策定し、2025年度と2026年度で基本実施設計を行い、2027年度、2028年度に建設工事を実施。2029年度に供用開始の予定です。
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