清田区の真栄春通り公園(札幌市清田区真栄4条2丁目)に、著名な現代彫刻家5人の野外彫刻が展示されているのをご存じですか。住宅街の中にある小さな公園に、さりげなく点在する5つの彫刻作品。すばらしい芸術作品が、あまり知られることなく5つもたたずんでいるのです。

真栄春通り公園
真栄春通り公園は1989年(平成元年)ごろに分譲が始まったニュータウン「しんえい四季のまち」の中にある公園です。西洋環境開発が企画・開発した住宅団地です。

しんえい四季のまち
「四季のまち」には、春通り公園、夏通り緑地、秋通り公園の3つのこじんまりとした公園・緑地が連なるようにあり、このうち春通り公園に5人の彫刻家の作品が点在する形で置かれています。
展示されているのは、手塚登久夫氏、山本正道氏、國松明日香氏、黒川晃彦氏、松隈康夫氏の5氏の作品です。制作年はいずれも1989年です。
■手塚登久夫氏「梟家族´89」

手塚登久夫「梟家族´89」
手塚登久夫氏の作品は「梟家族´89」という石彫です。手塚氏はフクロウをモチーフにした作品が多いそうで、全国各地に作品が展示されているそうです。あたたかみのあるフクロウの表情が特徴です。真栄春通り公園の作品も主要作品の一つなのでしょう。
手塚氏は元東京芸大教授。2015年に永眠されましたが、故郷の日光市に2018年、手塚氏の生涯と作品の偉業を顕彰する「ふくろうの森手塚登久夫石彫館がオープンしたそうです。
■山本正道氏「かえり道」

山本正道「かえり道」
真栄春通り公園の真ん中に置かれている少女像は、山本正道氏の「かえり道」というブロンズ像作品。この少女像だけ、作品名と作者名を示す銘板がなくなっていますが、これはまぎれもなく山本氏の作品です。
山本氏は、横浜・山下公園に設置されている「赤い靴をはいた女の子の像」の作者で知られた彫刻家です。北海道大学構内にある「新渡戸稲造顕彰碑」も山本氏の作品です。
■國松明日香氏「風の路」

國松明日香「風の路」
真栄夏通り緑地から春通り公園に入る入口付近に設置されているのが、國松明日香氏の「風の路」という鉄のオブジェ。公園の景観に美しさを添えています。
國松明日香氏は、画家國松登氏の長男で、小樽出身。真栄春通り公園にあるような鉄を題材にした大型のモニュメントの作品が特徴のようです。作品は、札幌駅前通りや札幌ドーム、大倉山シャンツェ、洞爺湖、江別・四季のみちなど道内の公共施設に数多くあります。
■黒川晃彦氏「切株に座って」

黒川晃彦「切株に座って」
サキソフォンを吹くおじさんの像は、黒川晃彦氏の「切株に座って」という作品です。おじさんは雨の日も晴れの日も雪の日も、いつもここに座ってサックスを吹いています。
ちょっと声をかけたくなるような、親しみやすいおじさんです。
黒川氏の彫刻作品は、このようにサックスなど楽器を手にしたおじさんのブロンズ像が多いのが特徴です。サックスおじさんは、いろんなバリエーションの作品が、全国各地にあるようで、道内でも旭川、苫小牧、江別などにあります。
■松隈康夫氏「連結」

松隈康夫「連結」
最後は、春通り公園入口にある松隈康夫氏の「連結」というモニュメント作品。松隈氏は、札幌大谷大学芸術学部教授で、氏の作品は室蘭工業大学、札幌駅前通り、洞爺湖ぐるっと彫刻公園などにもあるそうです。
真栄春通り公園を含む「しんえい四季のまち」は1991年度、札幌市都市景観賞を受賞しています。美しい街並みに花を添えた形の5つの彫刻作品。そうそうたる顔ぶれの彫刻家の作品群は、清田区の文化遺産ともいえるのではないでしょうか。
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