清田区の中心核「地域交流拠点清田」(清田区役所や西友清田店などがある地区)を形成するために、札幌市はイオン平岡店を増床・増築させて、イオンと連携したまちづくりを進めようとしています。
イオン平岡店を増床・増築させて、その人流を地域交流拠点清田の清田地区に波及させるというのですが、わざわざ2・4㎞(イオン平岡店の中心から西友清田店の中心まで)も離れた清田地区にイオン平岡店に来た客が行きますか。行きませんよ。札幌市の説明は、詭弁もいいところで、完全に破綻しています。
そして、市の通り進めたら、増床・増築したイオン平岡店に多くの人が行ってしまい、地域交流拠点清田の清田地区はますます寂れ、交流拠点の形成はさらに遠のいてしまう恐れがあります。
札幌市は、各地域の中心核17か所を「地域交流拠点」に定め、交流拠点を中心にまちづくりを進めています。
17か所の地域交流拠点は次の通りです。
新さっぽろ、大谷地、福住、月寒、白石、平岸、澄川、真駒内、光星、栄町、北24条、麻生・新琴似、篠路、琴似、宮の沢、手稲、清田
清田以外の地域交流拠点は地下鉄駅(またはJR駅)があり、バスセンターが併置されて地域の交通結節点になっています。清田以外の地域交流拠点は、地域内を走るバスで地域内の人が集まり、さらに地下鉄(またはJR)を通じて市内他地区とつながる構造になっています。
地域交流拠点とは、つまり地下鉄駅とバスセンターからなる交通結節点のことです。だから人の流れができ、そこに交流が生まれるのです。
しかし、17の地域交流拠点の中で清田のみ、そうなっていません。これが地域交流拠点清田の形成が進まない最大の原因です。
市は、「イオン平岡との連携」ではなく、この現実に真正面から向き合ってほしいと思います。これが清田区民の声、地域の願いです。
そもそも「地下鉄を清田まで延ばそう」と打ち出したのは、札幌市です。市(板垣武四市長)は昭和54年(1979年)、地下鉄南北線、東西線、東豊線の3路線を建設・整備する「地下鉄50キロ」構想を策定しました。
この中で、東豊線は栄町―北野(当時)と想定されました。後に、市の想定は北野から清田(清田区役所や西友清田店付近)に変更されますが、明確に札幌市は清田までの地下鉄建設を打ち出したのです。
その後も昭和60年(1985年)には、福住駅からのルート(北野通)と駅「共進会場」「月寒東」「北野」も発表されました。札幌市の長期総合計画にも清田への地下鉄建設計画を市は載せたのです。
その後、清田区が誕生し、清田区役所が現在地にできたことと札幌ドームができることから、想定ルートを国道36号線に変更し、終点を「清田」(地域交流拠点清田)に変更しました。
1997年に豊平区から分区して誕生した清田区は、区のまちづくり方針を示す「清田まちづくりビジョン2020」(目標年次2020年)を区民の声を聞いて策定しました(1999年)。
ここには「地下鉄東豊線は清田区民と区外の人との流れをつくるための導線として、地域中心核(=地域交流拠点清田)まで延長する必要がある」と、福住駅から清田までの東豊線延伸を明確に記したのです。
そして清田の地域中心核のイメージ図も掲載。そこには「地下鉄清田駅」がはっきりと描かれていたのです。
こうした動きを経て、桂信雄市長(当時)は2001年、市の総合交通対策審議会で検討し、「清田延伸」の方針を改めて打ち出したのです。
しかし、その後、市長が交代し、上田文雄市長は清田延伸を凍結。そのあとの秋元克広市長も基本的に上田市長の方針を継承して今日に至っています。
ところが、最近になって少し変化が出てきました。
2022年9月に地下鉄東豊線建設促進期成会連合会(会長:牧野晃清田地区町内会連合会顧問、清田区5町連、豊平区5町連、清田地区商工振興会など14団体で構成)が秋元市長に地下鉄延伸を要望した際、秋元市長は「東豊線の需要推計をやり直す」と、注目の発言をしたのです。
従来は「採算性に難があり延伸は難しい」の一点張りでしたから、前進です。
秋元市長は、従来の需要推計をやり直す理由として、「札幌ドームに隣接する北海道農業研究センターの土地に市が体育館やアリーナ等を新設することや、アクセスサッポロ(白石区流通センター)の後継施設を月寒グリーンドーム跡へ新設するなどの計画があること、さらに清田区への子育て世代と子供たちの転入が増えていること」などを挙げました。
地下鉄東豊線の延伸ルートや沿線に大規模な集客施設の計画があり、その大量輸送をさばく必要があるのです。
さらに、もう一つ注目される発言がありました。期成会からの再質問に対し、秋元市長は「今の国の制度・仕組みは『料金収入だけで採算性をとる』というのが大前提。しかし、この制度・仕組みを(国に)変えていただくこともしっかりとやっていかねばと思っている」と発言したのです。これは、地下鉄清田延伸計画が作りやすい環境を整えようということであり、秋元市長が従来よりも前向きな姿勢を示しているという感触がありました。
昨年7月の清田ふれあい区民まつり開会式に来賓として出席した際にも秋元市長は、地下鉄の清田延伸について「地元住民の人たちと一緒に考えていきたい」と発言していました。
今年4月に札幌市長選があります。秋元市長のこうした一連の発言が、市長選の公約にどう表現され、2023年度札幌市予算にどう反映されるのか、地域は注目しています。
地域と秋元市長の間では、地下鉄延伸を巡ってこうした動きややり取りがあるのです。それなのに、市のまちづくり担当者が、地域交流拠点清田のまちづくりにおいて、地下鉄のことにまったく触れずに、「イオンと連携」などと言っていることは、本当におかしいと思います。
市は1月12日(木)18時30分から、清田区民センター(清田区清田1条2丁目5-35)で、地域交流拠点清田のまちづくりについての説明会を開催します。時間のある方は参加しましょう。
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