札幌市は1月12日(木)、「イオン平岡と連携した地域交流拠点清田のまちづくり」の説明会を清田区民センターで開催しました。出席した区民から「清田区の中心核は区役所や西友清田店がある地区なのに、拠点がイオン平岡店に移ってしまう」「地域交流拠点清田には地下鉄が必須。その議論をすべきだ」と、疑問や不満が爆発しました。

札幌市が開いた地域交流拠点清田の説明会=2023年1月12日、清田区民センター

 説明会は昨年11月4日に平岡地区会館で行ったのに続き2回目。当初は予定になかった清田区民センターでの説明会ですが、平岡での説明会で「地域交流拠点清田は区役所や西友清田店がある清田地区。清田地区で説明会をやらないのはおかしい」という疑問が出たほか、昨年11月18日に開催された札幌市都市計画審議会でも委員から「清田地区でも説明会をやるべき」との意見が出され、市は急きょ清田区民センターでの説明会を開催しました。

 説明会には30人ほどの区民が参加しました。この説明会は「広報さっぽろ」1月号に小さな案内が出ていただけなので、知らない区民も多かったようです。

説明する札幌市とイオン北海道の担当者

 説明会では、はじめに札幌市まちづくり政策局の担当者が「イオン平岡店と連携した地域交流拠点清田のまちづくり」について説明しました。

 続いて、イオン北海道の担当者が、宴会などが開けるイオンホールの建設や樹林地(イオンの森)の一部に店舗や散策路を建設する構想などを説明しました。それによると、現在の商業店舗とイオンの森との間にある駐車場の場所に新たな商業棟を建設し、そこにイオンホールも設けるそうです。さらに、空中回廊で道路を渡りイオンの森側に行けるようにして、森側に1階建ての飲食と物販店舗を数棟建設する意向のようです。

 イオン北海道は「区民が集まる空間にしたい」と言っており、それが札幌市の言う「地域交流拠点清田の補完」という主張のようです。

 でも、これでは地域の中心核がイオン平岡に移ってしまう恐れがあり、地域交流拠点清田の形成はますます遠のき、寂れていってしまうのではないでしょうか。

 案の定、質疑の中で参加した区民からは「札幌市の計画は、まずイオンありきで、清田区の拠点がイオンに移ってしまうのでないのか」と疑問が出ました。

イオン平岡店

 実は、イオン北海道は、以前からイオン平岡店を増築・増床させる願望がありました。しかし、札幌市は2007年、「これ以上あの地区に商業施設の集客環境を作るのは好ましくない。他の既存商業施設にも影響が出る」とイオンの増床申請を不許可にしました。

 今回、「地域交流拠点清田の補完」云々と言っていますが、要するにやろうとしていることは、イオン平岡店の大幅な増築・増床=再開発です。ところが、今のイオン平岡店は、都市計画で「第2種中高層住居専用地域」という用途地域になっているため、1㎡の増築・増床もできません。

 これを地域交流拠点に関係づけてしまえば、この用途地域が一気に4ランクも規制が緩い「近隣商業地域」になってしまうのです。札幌市の決まりでそうなっているのです。そして「近隣商業地域」になると、いくらでも商業施設の増築・増床が可能になります。西友清田店がある地区は、以前から「近隣商業地域」になっています。

 しかし、イオン平岡店と、地域交流拠点清田の西友清田店の移動距離は2.4㎞もあります。とても歩いて行き来できる距離ではありません。「これがどうして同じ地域交流拠点清田なのか。おかしいではないか」。説明会では、こういう疑問も出ました。

 要するに、イオン平岡店を地域交流拠点に関係づけるのは、イオン平岡店の増築・増床のためであり、地域交流拠点清田は口実に過ぎないと疑う声が噴出したのです。

 さらに、「イオンはイオンで店づくりをやればいい。しかし、それは距離の離れた地域交流拠点清田とは別の話だ」「札幌市はイオンの方ばかり向いていて、地域交流拠点清田の取り組みが全く見えてこない」と、イオンべったりの札幌市の姿勢に疑問を表明する意見が相次ぎました。

 説明会に参加していた山田敏夫清田地区商工振興会会長は「うちは120年前に清田に開墾に入り、今は商店をやっているけど、清田でこういうばかげた話は120年間で初めてだ」と、言い切りました。

 「市とイオンの間で何か特別な取り決めでもあるのか」といった疑問まで出ました。

 地域交流拠点清田とイオン平岡店の間には「フードD」というスーパーもあるのですが、それなんかもすっぽかし。そもそも地域交流拠点清田のど真ん中にある西友清田店もお呼びでないというこの構想、無茶苦茶です。

 この図は、札幌市が作成した「清田地区と平岡3条5丁目地区(イオン平岡店)の連携図」です。札幌市のホームページで公開しています。これをみると、清田地区(地域交流拠点清田)では、行政機能や情報発信、イベント開催を担うとされ、イオン平岡では生活利便機能(物販・飲食・医療)を担うことになっています。

 冗談じゃないですよ。地域交流拠点の清田こそ、生活利便機能を充実させるべきではないですか。現に、清田地区には物販・飲食・医療機関などは既に一定程度集まっています。

 しかも、「(区役所のある清田で)行政手続してから、平岡で食事」とか、「買い物をしてから、清田へイベント参加」などとも記載しています。

 清田地区にも飲食店は結構あります。どうしてわざわざイオン平岡に食事に行かなければいけないのでしょうか。清田地区で頑張っている飲食店の皆さんに失礼です。

 また、清田地区にも西友清田店はじめ商業施設はあります。どうして「イオン平岡で買い物してから、清田へイベント参加」しなければならないのでしょうか。清田で買い物して、清田でイベント参加していいじゃありませんか。

 札幌市の「イオン優遇」と「清田地区の粗末な扱い」という姿勢が露骨です。こんな行政、ありますか。

 説明会では、市が以前、「地域交流拠点清田まで地下鉄を伸ばす」と言っていたのに、いつのまにか「イオンと連携」などと言っていることに不満が爆発しました。

 「以前、市は西友清田店の所まで地下鉄を伸ばすと言っていた。それで、私たちはこの清田に住んでいるのです。市が里塚霊園に里塚斎場(火葬場)を建設した際(1982年着工、1984年完成)も、札幌市は里塚斎場を造る見返りに清田まで地下鉄を延伸しますと言いました。私たちは当時、広い範囲で署名活動までしたのです。地下鉄を延伸するというので、私たちは火葬場建設に同意したのです。そういういきさつも一切話さずに、イオン、イオンと言われても納得できません」。これは地元の町内会連合会副会長さんの発言です。

 地域交流拠点とは、公共施設や商業施設、金融機関、病院などの都市機能が集積し、地下鉄駅(またはJR駅)とバスセンターからなる交通結節点のことです。札幌市は市内17か所を地域交流拠点に指定して、それぞれの地域の中心核として整備を進めています。地域交流拠点17か所は次の通りです。

新さっぽろ、大谷地、福住、月寒、白石、平岸、澄川、真駒内、光星、栄町、北24条、麻布・新琴似、篠路、琴似、宮の沢、手稲、清田

 清田以外の地域交流拠点は一様に地下鉄駅(またはJR駅)があり、またバスセンターが併置されています。だから、人が集まり交流が生まれるのです。ところが、清田だけ地下鉄駅がありません。したがってバスセンターもありません。このため人も集まらず交流も生まれず地域交流拠点の形成が進まないのです。

地域交流拠点清田の清田地区

 地域交流拠点とは、要するに地下鉄駅(またはJR駅)とバスセンターからなる交通結節点です。地域交流拠点清田に必要なのは、イオンとの連携なんかではなく、地下鉄駅の設置です。多くの区民はそう思っており、説明会でもそういう意見が表明されました。

 清田区が1997年、豊平区から分区して誕生した際、清田区はまちづくりの方針を示す「清田まちづくりビジョン2020」(目標年次2020年)を策定しました。この中で、清田までの地下鉄建設が盛り込まれ、地域交流拠点清田には地下鉄清田駅が描かれました。

 清田区の初代区長は「新生清田区の第一の課題は地下鉄延伸だ」と言っていたのです。こうしたことを、札幌市も清田区も一切言わず、口をつぐんだまま、「イオンと連動」などと言っているのです。

 説明会ではまた、「清田区民センターの清田区役所周辺への移転がさっぱり進んでいない」との不満も出ました。

 これは2020年11月24日、地下鉄東豊線建設促進期成会連合会(牧野晃会長)が秋元札幌市長に「地下鉄を清田まで延伸してほしい。地域交流拠点清田の形成には地下鉄が不可欠」と要望したのに対し、秋元市長が「清田区民センターはまだ耐用年数が20年もあるが、地域交流拠点清田を一歩でも二歩でも進めるために、耐用年数にこだわらず区民センターを区役所近くに移転することを検討する」と表明したことに端を発します。

 それなのに一向に進展が見えないことから、期成会の要望に参加して直接秋元市長から話を聴いた町内会連合会の会長さんから不満の声が上がったのです。市の担当者は「できるだけ早く具体案を示したい」と言うにとどまりました。

 ただ、区民センターだけでは地域交流拠点清田の形成ができないのは明らかです。他の地域交流拠点と同様に「地下鉄駅+バスセンター」の交通結節点が必須です。

 説明会を聞いた区民は「地域交流拠点清田の説明会のはずなのに、説明の大半はイオン平岡店の再開発の話だった。地域交流拠点清田のことはどうでもよく、イオン平岡店の増築・増床(再開発)を支援するのが市の狙いなのでしょう」と語っています。

 こうした不満や疑問が地域で挙がっているにもかかわらず、札幌市は1月25日(木)、札幌市都市計画審議会を開催して、イオン平岡店の増築・増床を可能にする都市計画決定の変更(イオン平岡店の用途地域を「第2種住居専用地域」から「近隣商業地域」に4ランク一気に格上げする内容)の同意を得て、計画を進める予定です。

 札幌市都市計画審議会は、このような計画を認めるのでしょうか。

 この異様な計画に、良識ある多くの札幌市職員は、心を痛めているのではないですか。

 そして、秋元市長さん、こんなことでいいのですか。

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