地下鉄東豊線建設促進期成会連合会(会長:牧野晃清田地区町内会連合会会長)は7月2日(月)、秋元克広札幌市長に「地下鉄の清田方面延伸」を重ねて要望しました。その際の秋元市長と期成会側とのやり取りをすべて公開します。
【牧野会長】(清田地区町内会連合会会長)
○大変お忙しい中、お時間を割いていただきまして本当にありがとうございます。私は地下鉄東豊線建設促進期成会の会長をしております清田地区町連の会長の牧野と申します。よろしくお願いします。本日は豊平・清田町連の会長8名と、清田地区の商工振興会、清田ライオンズクラブの各会長・代表、そして、豊平・清田選出の道議・市議の先生方、事務局を含めまして合計25名で、地下鉄延伸についての要望書を提出するために伺いました。よろしくお願いします。
○それでは、当期成会を代表いたしまして、私から市長に地下鉄延伸につきましての要望書を提出させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
(要望書趣旨説明)
【牧野晃会長】(清田地区町内会連合会会長)
○当期成会につきましては、今年度5つの項目の要望趣旨を説明させていただきます。
○1点目は、清田区役所周辺の地域交流拠点整備のことです。平成25年に策定されました「札幌市まちづくり戦略ビジョン」では、「区役所周辺の清田地区を地域交流拠点として整備すべきである」としておりますが、地域交流拠点の形成は一向に進んでいないというのが現状です。地域交流拠点整備の必須の条件は、私どもは地下鉄であると考えております。ただビジョンを打ち上げるだけでなくて、東豊線を延伸して地下鉄ターミナル駅及びバスターミナル、その他各種公共施設を整備していただいて、清田区役所周辺を清田区の地域中心核、地域交流拠点として、本気で整備するよう強くここに要望するものです。
○2点目は、札幌ドームの経営安定化と周辺地域の活性化についてです。4月に開かれました「ボールパークに関する豊平・清田区への市長報告会」において、「札幌ドームや周辺の活用という期待に沿えず、お詫び申し上げる」と市長は陳謝され、また、説明会後のお話では、「市民とともに、札幌ドームの活用策を話し合う場を設ける」と表明されております。札幌ドームと周辺の農業試験場用地の活性化は、地下鉄東豊線の延伸と清田方面の地域活性化に大変重要な要素と考えております。そこで、札幌ドーム活用策の話し合いを行う際には、札幌ドームの活用策だけでなくて、「ドーム周辺の農業試験場用地の活性化」も併せて場を設定していただけるよう強く要望を申し上げたいと思います。
○3点目は、冬季オリンピックの選手村建設地の変更についてです。本年3月の議会で札幌市は「札幌ドーム隣接地に新設するとしていた選手村を、真駒内地区に変更するとともに、農業試験場用地には、女子アイスホッケー場として月寒体育館の後継施設を建設する」と発表しました。オリンピック誘致のために開催経費を削減しなければならないことは私どもも理解しておりますが、そのために、選手村を真駒内地区に変更するということであるならば、それに代わる農業試験場用地の開発活性化策はどのようにお考えになられているのか、お聞きしたいと思います。月寒体育館の後継施設だけでは不足であります。市長が以前述べられておりましたように冬季ナショナルトレーニングセンターを是非、農業試験場用地に誘致し、オリンピックパークを整備されるよう強く要望するものです。
○4点目は、地下鉄の需要を喚起するまちづくりについてです。札幌市は前市長時代、「清田への延伸区間は30年で黒字化が見込めないので、延長するのは極めて難しい」の回答を繰り返してまいりました。しかし、これに対しまして、秋元市長は、地下鉄の需要を喚起するために、冬季五輪・パラリンピックの招致を表明していただきました。特にドーム周辺の土地を利用して、オリンピック関連の施設を作り、その後の活用策などを考慮して、例えばスポーツエリア構想などを考えながら、それも含めて採算性を検討する、このように我々と約束をしていただきました。札幌ドーム周辺の一大スポーツエリアの整備」と「スポーツツーリズムによるまちづくり」を積極的に推進していただくよう強く要望いたします。
○5点目は、渋滞の問題についてです。札幌ドームから北広島大曲間の国道36号線および羊ケ丘通は、全道でも有数の交通渋滞区間となっております。地下鉄が清田区まで伸びていないために、清田区はいまだに車社会そのままです。交通渋滞を緩和するために大きな効果があると考えられます地下鉄延伸をよろしくお願い申し上げます。
【秋元克広市長】
○ありがとうございました。改めまして清田地区のみなさんにとって、地下鉄の延伸要望が大きな悲願であると、地域のみなさんの強い思いを認識し、重く受けとめていきたいと思います。
○これまで、札幌市の地下鉄建設にあたり、唯一実現できていないのが清田方面への地下鉄延伸です。平成23年度に検討した際には、地下鉄の一日あたりの利用人員が43,900人との将来推計でした。清田地区、清田区役所までの延伸をした場合、当時想定をした概算費用は850億円、この費用と先ほどの将来推計の利用人員では、国の認可基準である30年間で黒字ということに達しないということでありました。
〇こういうことから清田方面への地下鉄延伸を実現するためには、一日あたりの乗車人員を伸ばしていかなければいけない。私も選挙の際に、現状の数字では、既に清田地区においても人口減少という状況になっており将来の人口増加が見込めない。そのような中で、オリンピック・パラリンピックの招致というのを掲げておりましたので、札幌ドーム周辺の土地利用との中で、将来の地下鉄の乗車人員が増えていかないかどうか、そこを申し上げたところであります。
○オリパラの招致の状況ですけれども、今IOCの方から強く言われておりますのが、オリンピックの費用に関して、できるだけ経費を抑えた大会を実現してほしい、そのためには、できるだけ既存施設を活用して、将来負担がないようにしてほしいということを強く求められております。選手村につきましても、新たな団地開発ということではなくて、できるだけ既存の住宅団地等の改変の中で、もしくは既存の施設、ホテル等の活用も含めて、選手村も考えなければならない。背景はそういうIOCから強く費用の削減というのと既存施設の活用というのを求められている状況であります。冬季のトレーニングセンターはオリンピアン、パラリンピアン、選手の皆さんからも、作ってほしいという声が上がっております。市議会の先生方と一緒になって、冬季のトレーニングセンターをぜひ札幌にという招致活動をしております。そういった中で、先ほどのオリンピック・パラリンピックの開催にあたっての概要計画を含めて、ドーム周辺の土地利用は引き続き検討を進めていきたいというところです。いずれにしましても、地下鉄の建設が実現するためには、乗車人員をいかに増やしていくか、そのための工夫をどうしていくのかということが、みなさんの要望を実現するための肝になっていくと思いますし、私はそこに向けて鋭意努力をしていきたいと考えております。
(質疑)
【鈴木亨清田中央地区町内会連合会会長】
○秋元市長は、3年前の選挙公約の中で、冬季オリンピックに合わせて、ドームの周辺の農業試験場に、選手村やメディアセンターを設置し、地下鉄の延伸の採算性を検討していきたいということを表明されました。地域住民は大変期待をしていたのですけど、この4年間は何もされなかったということで地域住民としては全く納得できません。地下鉄期成会はオリンピック招致の如何に関わらず、地下鉄の延伸に取り組んできました。要望書にも書いてある通り、期成会としてはオリンピック招致の如何にかかわらず「農業試験場用地の一大スポーツ整備」を進めていくべきであると考えております。
○来年は市長選挙の年です。もし仮に市長が次期も出馬されるのであれば、「ドーム周辺開発と地下鉄延伸の検討」を、2期目の選挙公約として引き続き入れていただきたいということを期成会としては強く要望いたします。
【秋元克広市長】
○地下鉄延伸に関しての思いは、皆さんと同じだということを申し上げたところです。そのうえで、国の認可を得るための将来乗車人員というのが、一番大きな課題になります。そのために、どういう土地利用が考えられるかと、オリンピック・パラリンピックというものの中で、今いろいろな検討をしておりますけれども、IOCとの関係の中で、既存施設の活用というのを強く言われてきており、状況も変わってきていることもあります。スポーツを核としたまちづくりをドーム周辺で進めていきたいという考え方は変わっていませんので、オリンピック・パラリンピックの計画と連動させていくのがより良いだろうと思いますけれども、札幌ドームを中心としたエリアの活用ということは、札幌市にとっても重要な課題であると認識をしています。
【伊藤昭夫北野地区町内会連合会会長】
○最近の新聞等では、新幹線駅とか、都心アクセス道路とか、MICE(マイス)とか、創生スクエアですとか、都心部の再開発の話題ばかりが色々と目についているところですが、一方で、清田区はこの20年間、都市整備が全く進んでおりません。地下鉄、バスターミナル、警察署、ホテルなど、豊平区からの分区以来全く進んでいないというのが実態です。
札幌市は、都心部の整備ばかりではなく、各区のまちづくり計画、都市計画にも区とともに本気で取り組んでいただけないでしょうか。
今後10区の中でも生活しやすい地域・そうでない地域というのが、何かすみ分けされるのではないかと、心配しています。今の清田区の現状から考えますと、一刻も早く清田区に中心核を作っていただきたい。
【秋元克広市長】
○今、都心の事業が色々と動いているのは、一つは札幌の街の生い立ちの中で、昭和47年にオリンピックが開催された頃に都心部というのは建てられております。民間の施設もオリンピックに合わせて街中のホテルですとか、新しく出来たということであります。ちょうど今建て替えの時期になってきておりまして、建て替えの時期に再開発事業として動き出している。市としても再開発事業として補助しておりますけども、大きなところは民間の事業が動いているということで、目立つのかなと思います。
〇都心アクセス道路の整備については札幌市だけの問題ではなく、新幹線が札幌まで延伸されますけれども、そこから道北だとか道東だとか人の流れを新たに作っていくためには、高速道路と新幹線をどうつなぐかということが、これは全道域として重要な課題として検討されているところであります。ですからこれは、札幌市はもとより、北海道全体の経済の発展、人の流れを作っていく、物の流れを作っていくために、高速道路と一番都心に近い創成川通を機能強化しようということであります。ですから、決して中央区だけのためということでなく、北海道全体のために今必要な事業としてやっているということです。
〇一方、ご指摘にあるように、それぞれの地域の生活はどうなるんだということでありますが、これはだんだん高齢化が進んでまいりますので、車で移動するというのもなかなか困難になっていきます。それぞれの地域ごとにいかに暮らしやすい地域を作っていくのかということが必要なことであります。地域の中で生活しやすい交通体系、交通機関がどうあるべきなのかということは、その地域での生活を維持していくための交通のあり方というようなことを両方考えていかなければならないと思います。都心だけということではなくて、郊外についても考えていくということをしっかりとやっていきたいと考えております。両方とも大切だと思っています。
【有田京史東月寒地区町内会連合会会長】
○清田区に地下鉄がないという中で、市長の方から新幹線・高速道路といった大きな体系を考えているということだったのですけど、地域のことを考えたら、やはり地下鉄とを合わせた交通体系を考えていただければ、地域全体の流れが良くなるという、そういう発想で地下鉄という一つの大きなファクターとしてお考えいただければと思います。
【鎌倉功平岡地区町内会連合会会長】
○地下鉄はどうしても建設費の問題がありますけど、例えばモノレールだとか高速路面電車みたいなものを導入するのは、検討されたことあるのでしょうか。
【秋元克広市長】
○清田地区について検討したということはありませんけれど、過去に札幌ドームまでの地下鉄の延伸や清田方面への延伸などを議論したときに、札幌市全体の交通体系を考えた時には、例えば北区の麻生からさらにその先はモノレールというのを試算したことがあります。当然地下鉄よりは費用は安くなると思いますが、乗り継ぎ抵抗というものがあり、これはマイナス要因になります。単純に建設費用だけのことを考えると、地上を走っていくものを考える方が安上がりになるというのは確かではあります。例えば、澄川の方では地上部に出ておりますが、ああいう形で地下鉄がまっすぐシェルターのようなもので行くとすれば、建設費は落ちることもあり得るとは思います。
【池田月寒地区町内会連合会会長】
○3月に、現月寒体育館の後継施設を建てて、オリンピック閉会後にそこは壊すというお話が出ていますけれども、現月寒体育館跡地の将来の具体的な利用についての構想というのはあるのでしょうか。
【秋元克広市長】
○先ほど言いました通り色々なことを検討しながら組み立てていく必要があります。オリンピック・パラリンピックの招致についても計画概要の整理をしなければなりません。月寒体育館の跡地をどうするかなど全体で考えていかなければいけないと思いますので、最終的にどういう形でやっていくのが良いのか、どこに何を作っていくのが良いのかということは、みなさんと議論をさせていただきたいと考えております。
【三上洋右市議=自民、豊平区】
○当初は清田区まで計画は組み込まれていたわけです。市長も苦しい立場だというのはわかりますけれども、オリンピックが来て、リニューアルだけで終わるのではなく、やはり子供や将来を担う若者に夢を与えるためにも、私は地下鉄延伸が一つの目玉だと思っております。
先ほど、地下鉄から他の交通機関に乗り換える話を市長は乗り換え抵抗があるから駄目だといわれたので安心しました。市はバスを(支柱の)上にもっていって専用レーンを走らせるような検討をされたこともありますよね。でも私はその話を聞いてがっかりしたんですよ。それは屋根をかけないと冬なんか到底だめですよ。このシステムを走らせている新潟に視察に行ってまいりましたが、(新潟はバスが地上を走っていて(支柱の)上に上がっていませんが、)トローリーバスみたいな形式で、ああいう形式は絶対だめですよ。
福住で乗り換えというのはマイナス要因で絶対だめなんですよ。それよりも安上がりにするなら、平岸から上に上がっているのと同じ 『真駒内方式』ではいかがなものか。まあ、ここは、市長の政治決断だと思うんですよ。
札幌市民だけではなくて三井アウトレットなどいろいろな流動的な流れ・交流人口を考えた時に私は可能性はあると思うんですよ。
市の理事者の責任ある方の話によると、「どうにかして中央政府を納得させる案を作りたいんだけれどなかなか妙案が出ない」とおっしゃっていました。その苦労はわかるが、それではいつまでたっても地下鉄は延びませんよ。これは秋元市長の政治決断にかかっていますよ。
それは急に需要を伸ばせと言ったって需要は増えませんよ。でも可能性はあるんですよ。一つこの可能性に賭けて、市長の決断を期待します。
【牧野会長】
○今日はありがとうございました。
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