清田区は、豊平区から分離した際、まちづくりの指針となる「清田区まちづくりビジョン2020」(60ページの冊子)を策定しました。そこには、清田区役所周辺を「地域中心核」として位置づけ、福住駅止まりの地下鉄東豊線を国道36号線沿いに清田まで延長するプランが描かれていました。このビジョンは一体どこへ行ってしまったのでしょうか。

 清田区が豊平区から分区して誕生したのは平成9年(1997年)11月。「清田区まちづくりビジョン2020」は清田区誕生の半年前の同年4月から策定作業が始まりました。新しい清田区のまちづくりの方向性を明確にしようとした取り組みです。

 このビジョンを作るにあたって、清田区は当時、学識者、企業、各種団体、地域の代表者からなる「きよたまちづくり区民会議」を組織して検討、さらに公開討論会「まちづくりフォーラム」を開催しました。また、2度にわたる区民アンケートを実施するなど、住民参加で「清田区まちづくりビジョン」を作ったのです。

 こうして清田区は平成11年(1999年)3月、「清田区まちづくりプラン2020」を策定しました。目標年次を2020年とする清田区のまちづくり長期計画です。清田区によると、このビジョンはまちづくりの指針として「今も生きている」とのことです。

 この「まちづくりビジョン」は、「緑あふれる美しいまち」や「健やかに暮らせる安全なまち」などといった項目のほかに、注目される記述があります。

 地下鉄の清田方面への延長を明確に打ち出していることです。

清田区の地域中心核として期待されるエリア

  同ビジョンは、清田区役所周辺地区を「地域中心核」と位置付け、「地下鉄駅などのターミナル機能と文化・商業施設、公共施設などをあわせ持つ地域中心核の形成が望まれます」と、「地下鉄駅」の開設を明記しているのです。

 また、「地下鉄東豊線は清田区民と区外の人々との流れをつくるための動線として地域中心核まで延長する必要があります」と、地下鉄延伸を明確に記しているのです。

 さらに、地下鉄東豊線を延長した「清田駅」ターミナルを描いた「地域中心核イメージ図」や、地下鉄延長を示す地図なども「清田区まちづくりビジョン2020」は掲載しています。

「清田区まちづくりビジョン2020」で示された地域中心核(清田区役所周辺)イメージ図。地下鉄駅が記されている

 ところが、近年、清田区が関係するまちづくりに関する議論の場で、地下鉄延長問題が取り上げられることはほとんどありません。残念なことです。

地下鉄東豊線延長を明記した「清田区まちづくりビジョン2020」掲載の構想図

 ただ、清田区が地下鉄延伸問題を取り上げにくいことは、理解できます。札幌市が地下鉄延伸の方針を示していないからです。

 しかし、「清田区まちづくりビジョン2020」策定当時の清田区長は「このビジョンを指針として区のまちづくりが進められることになります」と同ビジョンの中で宣言しました。 

 今年は清田区が誕生して20年の節目の年です。これからの清田区のまちづくりをどうしていくのか、地域中心核や地下鉄延長問題などをもっと議論してもよいのではないでしょうか。

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