日本ハムの新球場の候補地に札幌市南区の真駒内公園案が浮上していますが、札幌市役所に反対する声が殺到しています。

美しい自然が残る道立真駒内公園

 札幌市役所市民の声を聞く課が1月22日(月)にまとめたところによると、日本ハムの新球場を道立真駒内公園に建設する案について、昨年10月9日から今年1月19日(金)までに174件の意見が寄せられました。

 内訳は、「賛成」が24件(13.8%)、「反対」が117件(67.2%)、どちらでもない・他の場所が良いなど「その他」が33件(19.0%)で、反対や苦情が際立って多いことが分かりました。

 反対は賛成の4.9倍に達しています。

 札幌市役所市民の声を聞く課によると、反対意見は「真駒内公園の環境破壊になる」「交通渋滞が心配」「オリンピック遺産を残してほしい」「一民間企業に税金を使うな」といった声です。

 賛成意見は「北広島に取られないでほしい」「真駒内駅前の開発や経済効果につながる」といった声です。また、どちらでもない・その他意見は「百合が原公園や丘珠・真駒内駐屯地が良いのではないか」などといった声だそうです。

 市民の声を聞く課以外にも、担当部局等に真駒内案についての「苦情が寄せられている」(市職員)といいます。

 日本ハムの新球場は、札幌市が提案した「北大構内」(北区)と「旧道立産業共進会場周辺」(豊平区)、北広島市が提案した「きたひろしま総合運動公園予定地」の3カ所で検討されてきました。しかし、札幌の2か所は関係者の反対や面積が狭いこと、北広島は札幌からの交通アクセスが悪いことなどから、「いずれも決め手を欠く」(2017年10月25日北海道新聞)状態だったといいます。

札幌冬季五輪の聖地・歴史遺産の真駒内屋外競技場。新球場はこれを取り壊して建てる

 そこで、日本ハム球団が札幌市に「真駒内公園はどうか」と打診、札幌市は昨年12月に日本ハム球団に真駒内公園を正式に候補地として提案しました。

 しかし、真駒内公園は、札幌が飛躍的に発展するきっかけとなった1972年札幌冬季オリンピックのメーン会場で、いわば札幌の聖地です。札幌の五輪遺産、歴史遺産として、もっと大事に扱いたいものです。

 札幌ドームという立派な球場があるのですから、なんとか日本ハムに札幌ドームを活用してもらえるよう、ドームの持ち主である札幌市はもっと大胆に妥協、努力していただけないものでしょうか。日本ハムが札幌ドームから出ていくとなると、札幌ドームの経営が成り立たなくなるうえ、これまで積み重ねてきた札幌東南部や清田地域のまちづくりへの影響も避けられません。