「日本ハムが新たなドーム球場を造れば、札幌ドームは立ち行かなくなる」と警告を発している北海道大学公共政策大学院の石井吉春特任教授は、球団と地域が共存できるぎりぎりの線として、一定の公的支援の下で、天然芝の屋根なし野球場を建設することを提案しています。

 「寒い季節は札幌ドームを使い、夏の間は天然芝の屋根なし球場を使う」(石井教授)という構想です。その野球場を札幌ドームの隣に造ってもいいのではないでしょうか。

 さらに、もし可能なら地下鉄東豊線を福住から一駅伸ばして札幌ドーム直結駅を新設してはどうでしょうか。交通アクセスは抜群です。検討してもらいたいものです。

 日本ハムの悲願である「球団と球場の一体運営」についても、札幌市は柔軟に譲歩する方向で検討してほしいと思います。そう思っている札幌市民は多いように思えます。

 一体運営ができていないのは日本ハムと巨人、ヤクルトの3球団だけです。多くの球団は自前の球場を持つか指定管理者になって運営権を手に入れるなどして「球団と球場の一体運営」を実現しています。一体運営は球界の流れといってよいでしょう。

 現状では、日本ハム球団が球場の運営にタッチできないため、高い使用料を払わされたうえ、日本ハム戦の飲食関係の売上も大半を球場に持って行かれ、球団には入らない仕組みだそうです。

 日本ハム球団が「球団と球場の一体運営」を目指し、ボールパークを志向していることに共感する市民は多いと思います。しかし、それには「球団と地域との共存共生」が大前提でしょう。札幌ドームがダメになるような新球場構想では、今後、地域社会といろいろな軋轢を生む恐れがあるのではないでしょうか。

 日本ハムは新球場の候補地を、札幌市南区の道立真駒内公園と北広島市のきたひろしま総合運動公園予定地の2カ所に絞り込み、3月末までに方向性を出すとしています。

 しかし、真駒内は自然破壊や交通渋滞の懸念から住民の反対運動が起きています。1972年札幌五輪の記念碑的な場所でもあります。札幌ドームがあるのに、もう一つドーム球場なんて、全く馬鹿げています。

 北広島は札幌中心部から遠く、交通アクセスも悪く、集客に疑問符が付きます。ボールパーク構想のイメージ図は夢物語のような大規模施設で、まるでバブル期の道内リゾート開発(相次ぎ破綻)の絵を見るようです。事業採算性はあるのでしょうか。

 新聞報道によると、親会社日本ハムの畑佳秀・新社長は2月2日、大阪で記者会見し、記者からの「札幌ドームに残る可能性はゼロか」との質問に対し、「全て(の可能性を)検討しているので、決定次第、発表する」と答えたと言います(北海道新聞2月3日)。

 札幌ドーム残留について、否定しなかったのです。

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