日本ハム球団が自前の新球場(ボールパーク)を真駒内か北広島に建設するという問題で、「札幌ドームの運営が立ち行かなくなる恐れがあるのに、札幌市など行政機関が新球場建設に財政支援をするのは認められない」との指摘が出ています。

 北海道大学公共政策大学院の石井吉春特任教授は2017年9月10日の北海道新聞で「(日本ハムの)新ドームによって札幌ドームの運営が立ち行かなくなるのは必然とみられるなかで、札幌市や北広島市がドーム建設に財政支援を行う合理性は見いだせない」「札幌圏の広域公共施設である札幌ドームの効率的な活用に、行政自らが逆行することが許容されるとは思えないからだ」と指摘しています。

 札幌市スポーツ局施設課によると、札幌ドームは札幌市が事業費688億円かけて造った公共建築物で、2001年に開業しました。事業費の内訳は、札幌市が383億円、道が100億円、国が186億5000万円、経済界の寄付が18億5000万円です。

 建設時の借金がまだ192億円(平成29年3月末)も残っています。札幌市はこれを平成43年度まで毎年、分割で延々と返済していきます。その返済資金は全額、札幌市民、道民、国民の血税です。

 札幌ドームは札幌市民、道民、国民の莫大な税金で建設した大型公共施設なのです。

 日本ハムが札幌圏のどこかに新ドーム球場(ボールパーク)を造るのは自由かもしれません。

 しかし、それに伴う道路や水道、下水道、交通などインフラ整備に札幌市や道や国が財政支援するのは大きな問題があるとの指摘が出ているのです。

 札幌ドームの価値を棄損する行為を、行政自ら行うことになるからです。

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